【2026年9月更新】収入保障保険|遺族年金改正前の不足額3基準
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

収入保障保険
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死亡保険
教育費
NISA
目次
遺族年金の改正前に、収入保障保険を見直す理由
2028年4月に予定されている遺族厚生年金の見直しを前に、子育て世帯や共働き世帯では「もしものとき、毎月いくら足りなくなるのか」を早めに確認したい時期に入っています。特に 収入保障保険 は、死亡保険金を一括ではなく毎月の年金形式で受け取れるため、遺された家族の生活費を補いやすい保険です。
ただし、必要額をなんとなく「月10万円」「月15万円」と決めると、保障が多すぎて家計を圧迫したり、逆に教育費のピークで足りなくなったりします。生命保険文化センターの2025年度調査では、死亡保険金の必要額は平均1,569万円、加入金額は平均887万円とされており、必要と感じる備えと実際の備えには差があります。詳しい調査概要は(生活保障に関する調査)で確認できます。
この記事では、2026年9月時点で押さえたい「不足額の3基準」を使い、収入保障保険の年金月額と保障期間を家計の数字から整理します。
この記事で確認する不足額の3基準
- 1毎月の生活費から遺族年金や配偶者収入を差し引き、月額の不足分を把握します。
- 2教育費、住宅費、車の買い替えなど、数年単位で発生する大きな支出を確認します。
- 32028年予定の遺族厚生年金見直しを踏まえ、保障期間を短くしすぎないか確認します。
- 4NISAやiDeCo、預貯金との役割分担を整理し、保険料を払いすぎない形に調整します。
収入保障保険とは、毎月の生活費を補う死亡保険
収入保障保険は、被保険者が亡くなった場合などに、契約で決めた期間まで毎月一定額を受け取れるタイプの死亡保険です。一般的な定期保険が「死亡保険金1,000万円」のように一括で受け取るのに対し、収入保障保険は「毎月10万円を末子が大学を卒業する頃まで」という設計がしやすい点が特徴です。
家族の必要保障額は、年齢とともに減っていくことが多いです。子どもが小さい時期は教育費と生活費の残り期間が長く、保障は厚めに必要です。一方、子どもが独立し、住宅ローンも団体信用生命保険でカバーできるなら、必要額は下がります。収入保障保険はこの変化に合わせやすく、合理的な死亡保障になりやすい保険です。
なお、商品によっては一括受取を選べる場合や、最低支払保証期間が付く場合もあります。比較するときは、月額保険料だけでなく「どの状態で、いつから、何年間、いくら受け取れるか」まで確認しましょう。
死亡保険金を一括で受け取る保険と何が違いますか?
収入保障保険と普通の死亡保険は、どちらを選べばいいのでしょうか?
毎月の生活費を補う目的なら収入保障保険が合いやすいです。一方で、葬儀費用、住宅ローンの一部返済、相続対策など一時的な資金を用意したい場合は、一括で受け取る定期保険や終身保険のほうが合うこともあります。
2028年予定の遺族厚生年金見直しで確認したいこと
厚生労働省は、2025年6月に成立した年金制度改正法に基づき、遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行予定と公表しています。ポイントは、一定の遺族厚生年金について男女差を見直し、原則5年間の有期給付とする方向が示されていることです。詳細は(遺族厚生年金の見直しについて)で確認できます。
ただし、すべての世帯で一律に「5年で終わる」と考えるのは早計です。厚生労働省の説明では、施行直後に原則5年間の有期給付の対象となる女性は、18歳年度末までの子どもがいない、2028年度末時点で40歳未満の方などに限られます。男性については、18歳年度末までの子どもがいない60歳未満の方が新たに5年間の有期給付の対象になります。
18歳年度末までの子どもを養育している間の給付内容は、今回の見直しによる影響を受けないとされています。さらに、5年間の有期給付には加算が上乗せされる仕組みや、収入が十分でない場合などの継続給付も予定されています。収入保障保険は改正への不安だけで判断せず、家族構成、子どもの年齢、配偶者の働き方、公的年金の見込みをセットで確認することが大切です。
遺族年金の改正は大切な確認材料ですが、保険の入りすぎを防ぐには、制度の不安よりも家計の数字から逆算することが大切です。
基準1:毎月の生活費不足を計算する
1つ目の基準は、遺された家族の 生活費不足額 です。考え方はシンプルで、死亡後に必要な毎月の支出から、遺族年金、配偶者の手取り収入、児童手当、勤務先の弔慰金や遺族給付などを差し引きます。
2026年度の遺族基礎年金は、子のある配偶者が受け取る場合、昭和31年4月2日以後生まれの方で年847,300円に子の加算額を加えます。子の加算額は1人目・2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です。たとえば子ども1人なら年1,091,100円、月額換算で約9.1万円です。最新の金額は(遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額))で確認できます。
たとえば、死亡後の生活費が月28万円、配偶者の手取りが月15万円、遺族基礎年金などの公的給付が月9万円相当なら、不足額は月4万円です。この場合、収入保障保険の年金月額は月5万円程度から検討する、という考え方になります。必要保障額の基本は、支出見込額から収入見込額を差し引く方法です。具体例は(万一の際に必要な保障額の算出方法と具体例)でも整理されています。
月額不足額を出す手順
- 1死亡後も残る生活費を、住居費、食費、通信費、教育費、保険料に分けて書き出します。
- 2遺族基礎年金、遺族厚生年金、児童手当、配偶者の手取り収入を月額換算します。
- 3勤務先の死亡退職金、弔慰金、団体保険、住宅ローンの団信を確認します。
- 4預貯金やすぐ使える資産を差し引き、毎月いくら補えば生活が続くかを確認します。
- 5保険料が家計を圧迫しないよう、年金月額を5万円単位などで調整します。
基準2:教育費と住宅費のピークを別枠で見る
2つ目の基準は、毎月の不足額だけでは見えにくい 教育費と住宅費 です。子どもが小さい世帯では、日々の生活費だけでなく、大学進学時の入学金、授業料、受験費用、下宿費用などが後から大きく発生します。毎月の不足額だけで収入保障保険を設計すると、この一時的なピークに対応しにくいことがあります。
日本政策金融公庫の教育費コンテンツでは、幼稚園から大学卒業までの学費の目安は、すべて公立で約822.5万円、すべて私立で約2,307.5万円と示されています。大学の初年度教育費だけを見ても、国公立大学は平均87.2万円、私立大学は平均227.6万円、医歯系を除いた私立大学でも平均140.5万円です。進路によって差が大きいため、詳しくは(教育資金はいくら必要?かかる目安額をご紹介)を参考に、家庭ごとの進路想定で見積もりましょう。
住宅ローンがある場合は、団体信用生命保険でローン残高が完済されるか、ペアローンで片方の債務が残るかを必ず確認してください。賃貸の場合は、死亡後も家賃が続くため、住居費を長めに見る必要があります。教育費はNISAや預貯金で準備し、生活費不足は収入保障保険で補うなど、資金の使い道ごとに分けると判断しやすくなります。
NISAで教育費を準備していれば収入保障保険は不要ですか?
NISAで教育費を積み立てています。収入保障保険は入らなくてもよいですか?
NISAは生きている間の資産形成には有効ですが、積立途中で万一が起きると目標額に届かない可能性があります。教育費をNISA、死亡時の生活費を収入保障保険というように、役割を分けて考えるのがおすすめです。
基準3:保障期間は子どもの独立時期と改正影響で決める
3つ目の基準は、 保障期間 です。収入保障保険は、契約から時間が経つほど受け取れる総額が減る仕組みが一般的です。そのため、保障期間を短くすれば保険料を抑えやすい一方、必要な時期まで届かないリスクがあります。
目安としては、末子が大学を卒業する年齢、配偶者が安定して働ける時期、住宅費の負担が軽くなる時期を見ます。子どもが0歳なら22歳前後まで、子どもが10歳なら大学卒業まで約12年というように、同じ「月10万円」でも必要な年数は家庭によって大きく違います。
2028年の遺族厚生年金見直しによって、世帯によっては中長期の公的給付の見込みが変わる可能性があります。遺族年金の基本は(公的な遺族年金の仕組みについて知りたい)で確認しつつ、自分の世帯では何歳まで不足が続くかを試算しましょう。
同じ月10万円の保障でも、子どもが10歳になるまでと22歳になるまででは、家族を守れる範囲が大きく変わります。
NISA・iDeCo・預貯金との使い分け
収入保障保険は死亡時の家計防衛に向く一方、老後資金や教育資金を増やす仕組みではありません。老後資金はiDeCoやNISA、教育資金はNISAや預貯金、万一の生活費は収入保障保険というように、目的ごとに置き場所を分けると家計全体が整理しやすくなります。
2024年からのNISAは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計で年間360万円まで利用でき、非課税保有限度額は1,800万円です。制度の基本は金融庁の(NISAを知る)で確認できます。ただし、NISAは元本保証ではありません。大学入学金のように使う時期が近い資金は、預貯金や個人向け国債など値動きの小さい置き場所も組み合わせたいところです。
特にiDeCoは原則60歳まで引き出せないため、死亡保障の代わりにはなりにくい制度です。保険料を抑えて浮いた分をNISAに回す、または保障不足が大きい時期だけ収入保障保険を厚くするなど、バランス調整が大切です。
加入前に確認したい告知・保険料・税金の注意点
収入保障保険は死亡保障の一種なので、申し込み時には健康状態の告知が必要です。健康診断で要再検査がある場合、通院中の病気がある場合、喫煙歴がある場合は、保険料や加入可否に影響することがあります。
また、保険料の安さだけで選ぶと、保険金の受取条件、最低支払保証期間、障害・介護状態の保障、非喫煙者割引の判定などを見落としがちです。毎月の保険料を比較するだけでなく、「どの状態になったら、いつまで、いくら受け取れるか」を確認しましょう。
税金も見落とせません。契約者、被保険者、受取人の組み合わせや、一括受取か年金受取かによって、相続税、所得税、贈与税の扱いが変わることがあります。既契約の生命保険がある人は、解約前に新しい契約が成立してから見直すと保障の空白を避けやすくなります。迷う場合は、保険証券、ねんきん定期便、住宅ローンの返済予定表、教育費の見積もりをそろえて相談すると、必要額を具体的に確認しやすくなります。
まとめ:重要ポイント
- 1収入保障保険は、死亡後の毎月の生活費不足を補いやすい死亡保険です。
- 22028年の遺族厚生年金見直しは全世帯に同じ影響が出るわけではなく、子どもの有無や年齢で確認すべき点が変わります。
- 3教育費や住宅費のピークは、毎月の不足額とは別枠で確認すると保障不足を避けやすくなります。
- 4保障期間は、末子の独立時期、配偶者の収入見込み、2028年以降の遺族年金の影響を踏まえて決めます。
- 5NISAやiDeCoは資産形成、収入保障保険は万一の生活費対策として役割を分けると整理しやすくなります。
まずはAI相談から、必要ならFP相談へ
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