【2026年9月更新】遺族年金と生命保険|受給中の不足額3基準
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

遺族年金
生命保険
死亡保険金
不足額
遺族厚生年金
教育費
保険見直し
目次
はじめに:受給が始まってから見える不足があります
配偶者を亡くしたあと、 遺族年金 の手続きが終わると「これで生活は少し落ち着くはず」と思いたいものです。けれど実際には、家賃や住宅ローン、教育費、車の維持費、親族付き合いの費用などは続きます。年金が振り込まれるようになっても、毎月の家計が思ったほど楽にならない人は少なくありません。
この記事では、すでに遺族年金を受け取っている人が、死亡保険金や預貯金をどう使い、これからの不足額をどう見積もるかを3つの基準で整理します。亡くなった方の保険をあとから増やすことはできませんが、残された家族の生活設計を立て直すことは今からでも可能です。
受給中に確認したい不足額の3基準
- 1毎月の収入と支出を比べ、赤字が固定費によるものか一時的な支出によるものかを分けます。
- 2子どもの年齢や本人の年齢によって、遺族基礎年金や加算がいつ変わるかを確認します。
- 3受け取った生命保険金を、生活費、教育費、老後資金、緊急資金に分けて使い道を決めます。
基準1:毎月の赤字は生活費と特別費に分けて見る
最初に見るべきなのは、 受給中の不足額 が「毎月くり返す赤字」なのか、「年に数回だけ出る大きな支出」なのかです。収入には遺族年金、給与、児童手当、児童扶養手当などを入れ、支出は家賃、住宅ローン、保険料、通信費、食費、教育費などに分けます。
たとえば月3万円の赤字でも、原因が通信費、保険料、住宅費などの固定費なら早めの見直しが必要です。一方で、入学金、引っ越し、車検、家電買い替え、冠婚葬祭のような一時的な支出なら、死亡保険金や預貯金から取り崩す計画を立てる方が現実的です。赤字をひとまとめにせず、原因を分けるだけで対策はかなり選びやすくなります。
遺族年金だけで足りない場合、すぐ保険を解約すべきですか?
毎月少し赤字です。死亡保険金を受け取ったのですが、使ってしまっていいのか不安です。
まずは赤字の原因を分けましょう。生活費の不足なら固定費や働き方の調整が優先です。教育費など時期が決まっている不足なら、保険金を目的別に分けて使う計画を作るのが先です。
基準2:遺族年金はずっと同じ金額とは限らない
遺族年金の受給額は、家族構成、子どもの年齢、亡くなった方の加入制度によって変わります。特に子どもがいる家庭では、子どもが18歳到達年度の末日を迎えるタイミングで遺族基礎年金の扱いが変わるため、数年後の収入減を見落としやすいです。
日本年金機構の(遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額))では、令和8年4月分からの遺族基礎年金額について、昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者は年847,300円に子の加算額を加える形とされています。子の加算額は1人目・2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です。
大切なのは、いまの振込額だけを見るのではなく「いつ、何が終わるか」を家計表に入れることです。子どもの進学時期、児童手当の終了時期、遺族基礎年金の変化時期を同じ表に並べると、資金が苦しくなりやすい年が見えてきます。
遺族年金の不足は、今月の赤字だけでなく、数年後に年金や加算が変わるタイミングで大きく表れます。
2028年施行予定の改正は見出しだけで判断しない
2026年9月時点では、 2028年4月施行予定の見直し が話題になっています。厚生労働省の(遺族厚生年金の見直しについて)では、法律上の施行予定や対象者、影響を受けない人が整理されています。
重要なのは、すでに遺族厚生年金を受給している人について、今回の見直しで受ける影響はないと示されている点です。また、18歳年度末までの子どもを養育する間にある人の給付内容も、見直しの影響を受けないとされています。
ただし、報道の見出しだけを見て安心しすぎるのも、逆に不安になりすぎるのも避けたいところです。受給している年金の種類、本人の年齢、子どもの有無、今後の就労収入によって確認点は変わります。年金振込通知書、年金証書、ねんきんネットの情報をそろえ、必要なら年金事務所やFPに家計への影響を確認しましょう。
遺族年金受給中の家計を立て直す手順
- 1年金振込通知書、給与明細、児童手当などの収入資料を1か所に集めます。
- 2家賃、住宅ローン、保険料、通信費、教育費を固定費と変動費に分けます。
- 3子どもの進学時期と遺族基礎年金の変化時期を同じ表に書き込みます。
- 4死亡保険金や預貯金を、生活防衛資金と教育資金に分けて管理します。
- 5不足が続く場合は、保険の解約前に保障の必要性と税金を確認します。
基準3:生命保険金は取り崩す順番を決める
受け取った 生命保険金 は、まとまった金額に見えるほど使い道に迷います。ここで大切なのは、全額を普通預金に置くか、すぐ投資に回すかの二択で考えないことです。
まずは半年から1年分の生活費を緊急資金として確保します。次に、3年以内に使う予定がある教育費、住居費、車関連費、引っ越し費用は、安全性の高い預貯金などで分けておきます。そのうえで、10年以上使わない可能性が高いお金について、NISAなどの資産形成を検討する順番が現実的です。
死亡保険金は、遺族の生活を守るためのお金です。増やすことを考える前に、必要な時期に必要な金額を取り崩せる状態にしておくことが欠かせません。
受け取った保険金をNISAに入れてもいいですか?
普通預金に置いておくのはもったいない気がします。NISAで運用しても大丈夫でしょうか。
使う時期が10年以上先のお金なら候補になります。ただし、教育費や生活費として数年以内に使うお金まで投資に回すと、相場下落時に取り崩すリスクがあります。
教育費は平均額と家庭の進路で大きく変わる
子どもがいる家庭では、教育費の山を先に見ておくことが大切です。文部科学省の(私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について)によると、令和7年度の私立大学学部の初年度学生納付金等は平均1,507,647円です。授業料、入学料、施設設備費、実験実習料などを含む金額で、学部や地域によって差があります。
たとえば高校2年生の子どもがいるなら、2年以内に大学受験費用や入学時費用が出る可能性があります。このお金まで投資に回すと、必要なタイミングで元本割れしているリスクがあります。反対に、子どもがまだ小さく、10年以上使わない資金なら、家計全体の安全資金を確保したうえで長期運用を検討する余地があります。
なお、国税庁の令和8年4月公表資料では、2027年1月からNISAのつみたて投資枠の対象年齢下限が撤廃される予定も示されています。ただし、未成年の資産形成は払出し制限や教育費との兼ね合いがあるため、「使う時期」と「値下がりしても待てる期間」を先に決めることが前提です。
死亡保険金は、増やせるかどうかよりも、必要な時期に減らしすぎず使えるかを先に考えるお金です。
亡くなった人の保険は増やせないが、残された人の保障は見直せる
配偶者が亡くなったあとに、亡くなった方を対象にした生命保険を追加することはできません。一方で、残された親自身の死亡保障、医療保障、就業不能時の備えは見直せます。
特に子どもが小さい場合、残された親に万一のことが起きたときの教育費や生活費をどうするかは重要です。死亡保障を大きくするだけでなく、親族に頼れる範囲、勤務先の制度、預貯金、児童手当、遺族年金の見通しを合わせて考えます。
遺族年金受給中の保険見直しは、亡くなった方の保険不足を後悔するためではありません。これからの家族を守るために、残す保障と減らす保険料を整理する作業です。
保険料を下げたいときは解約より先に棚卸しをする
家計が苦しいと、保険をまとめて解約したくなるかもしれません。しかし、医療保険や死亡保険を解約すると、持病や年齢によって再加入が難しくなる場合があります。まずは、保障額を下げる、特約を外す、払済保険にするなど、契約を残しながら負担を下げる選択肢がないか確認しましょう。
税金面では、国税庁の(源泉所得税の改正のあらまし)で、23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料控除の特例が整理されています。令和8年分・令和9年分の所得税では、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の上限が6万円になる一方、一般・介護医療・個人年金を合わせた全体の限度額12万円は変わりません。
控除だけを目的に保険へ入る必要はありませんが、既契約を残すか減らすかを考えるときには、保険料負担と税負担をあわせて見ると判断しやすくなります。
不足額はひとりで抱えるほど難しくなる
遺族年金、生命保険、児童手当、働き方、教育費、住宅費をすべて一人で整理するのは簡単ではありません。相続手続きや生活の変化が重なる時期は、冷静に判断しにくいものです。
だからこそ、受給中の不足額は早めに見える化しましょう。年金振込通知書、保険証券、家計簿、住宅ローン返済予定表、子どもの進学予定がわかるメモがあれば、毎月の赤字だけでなく、数年後に資金が足りなくなる時期も確認しやすくなります。
判断に迷う場合は、保険だけ、投資だけ、年金だけで切り分けず、家計全体で見てもらうことが大切です。今あるお金をどう使い、どの保障を残し、どの支出から整えるかを順番に決めることで、不安は具体的な行動に変えられます。
まとめ:重要ポイント
- 1毎月の不足額は、固定費による赤字と一時的な特別費に分けて考えます。
- 2遺族年金は子どもの年齢や加算の終了時期で変わるため、将来の収入減も確認します。
- 3死亡保険金は、生活防衛資金、教育資金、長期資産形成に分けて取り崩す順番を決めます。
- 4保険を解約する前に、保障額の調整や特約の見直しなど契約を残す方法も確認します。
- 5年金、保険、家計、資産形成を一体で見ると、不足額への対応策を選びやすくなります。
まずは無料オンラインFP相談で家計を棚卸し
遺族年金受給中の不足額は、年金額、死亡保険金、教育費、住居費をまとめて見ないと判断が難しいテーマです。ほけんのAIなら、まずLINEでAIに状況を整理し、その後必要に応じて無料オンラインFP相談へ進めます。自宅から相談でき、保険や家計を中立的に比較しやすいのが利点です。家計簿や保険証券があれば、より具体的に相談できます。
🎁今なら面談後アンケート回答で
1,500円分全員プレゼント!

関連記事一覧

【2026年9月更新】年金生活者支援給付金と個人年金保険|所得判定3基準
年金生活者支援給付金と個人年金保険の所得判定を2026年9月時点で解説。公的年金収入、雑所得、住民税非課税の3基準と手続きの注意点を整理します。

【2026年8月更新】生命保険と喫煙歴|検査前の告知3基準
生命保険と喫煙歴の告知を、コチニン検査前に確認すべき3基準で整理。加熱式たばこ、非喫煙者料率、告知義務違反、保障の空白まで解説します。

【2026年8月更新】生命保険とBMI|告知前の加入可否3基準
生命保険とBMIの関係を2026年8月時点で整理。肥満・やせすぎで加入可否が気になる人向けに、健康診断、合併リスク、保険種類別の3基準と告知前の準備を解説します。

【2026年8月更新】生命保険の選び方|ランキング前の3基準
生命保険の選び方をランキング前の3基準で整理。必要保障額、続けられる保険料、生命保険料控除やNISAとの使い分けを2026年8月時点で解説します。

【2026年8月更新】生命保険料控除の電子交付|年末調整前の3手順
生命保険料控除の電子交付を年末調整前に整える3手順を解説。2026年分の6万円特例、マイナポータル連携、QRコード付証明書の使い方まで確認できます。

【2026年8月更新】生命保険料の相場|30代夫婦の月額見直し3基準
30代夫婦の生命保険料相場を月額目安で整理。最新統計、子ども・子育て支援金、生命保険料控除の特例を踏まえ、死亡保障・手取り負担・資産形成の3基準で見直す方法を解説します。


















