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【2026年9月更新】死亡保険金の非課税枠|改正要望と子育て相続3基準

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2026年9月更新】死亡保険金の非課税枠|改正要望と子育て相続3基準
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子育て世帯
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死亡保険金の非課税枠は、子育て世帯ほど早めに確認したい

配偶者や子どもに万一の生活資金を残す目的で生命保険に入っている家庭では、保険金額そのものだけでなく、相続税でどこまで非課税になるかも大切です。2026年9月時点の 死亡保険金の非課税枠 は、原則として「500万円×法定相続人の数」です。
一方で、金融庁や生命保険業界からは、物価上昇や子育て世帯の遺族生活資金を踏まえた非課税限度額の引上げ要望が出ています。ただし、これはあくまで税制改正要望であり、現時点で制度改正が決定したわけではありません。
この記事では、現行制度、令和9年度税制改正要望の方向性、子育て世帯が死亡保障を考えるときの3つの基準を整理します。相続税だけでなく、教育費、住宅費、公的遺族年金、NISAやiDeCoとの家計配分まで見ていきましょう。

この記事で確認できること

  • 1
    死亡保険金の非課税枠が「500万円×法定相続人の数」で計算される基本を確認できます。
  • 2
    令和9年度税制改正要望で議論されている、配偶者や未成年の子への上乗せ案を把握できます。
  • 3
    配偶者と未成年の子どもがいる家庭で、死亡保険金額をどう考えるか整理できます。
  • 4
    受取人の設定や、相続人以外が受け取る場合の注意点を確認できます。
  • 5
    相続税対策だけでなく、教育費、住宅費、NISAとの家計配分まで見直すきっかけにできます。

現行制度は「500万円×法定相続人の数」が基本

国税庁は、被相続人が保険料を負担していた死亡保険金について、受取人が相続人である場合に「500万円×法定相続人の数」まで非課税になると説明しています。詳しくは(相続税の課税対象になる死亡保険金)で確認できます。
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人なら法定相続人は3人なので、非課税限度額は1,500万円です。死亡保険金の合計が2,000万円なら、非課税枠1,500万円を超えた500万円部分が相続税の課税対象に含まれます。
ここで重要なのは、死亡保険金がまるごと非課税になる制度ではないという点です。また、非課税枠は相続人それぞれに個別で500万円ずつ必ず使えるというより、相続人が受け取った死亡保険金の合計額に対する限度額として考えます。相続放棄をした人は死亡保険金の非課税の適用を受けられませんが、非課税限度額を計算する法定相続人の数には、原則として放棄がなかったものとして含めます。養子がいる場合は、法定相続人の数に含められる養子の人数に制限がある点にも注意が必要です。

保険金が非課税枠内なら相続税申告はいらない?

死亡保険金が非課税枠内なら、相続税の申告は不要と考えてよいですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
死亡保険金だけで判断するのは危険です。預貯金、不動産、有価証券、相続開始前の一定期間内の贈与財産などを含めた相続財産全体が基礎控除を超えるかで申告要否が変わります。非課税枠内の保険金でも、他の財産が多い場合は相続税申告が必要になることがあります。

改正要望では配偶者・未成年の子への上乗せが焦点

2026年8月に公表された金融庁の(令和9(2027)年度 税制改正要望について 2026年8月)では、その他の要望項目として「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」が挙げられています。
さらに、生命保険協会の(令和9年度税制改正に関する要望)では、現行限度額である「法定相続人数×500万円」に、「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算することが要望されています。
たとえば、配偶者と未成年の子ども2人が法定相続人の場合、現行の非課税限度額は1,500万円です。仮に生命保険協会の要望どおりになれば、配偶者分500万円と未成年の子2人分1,000万円が上乗せされ、非課税限度額は3,000万円になる計算です。もちろん、2026年9月時点では未決定です。年末の税制改正大綱や、その後の法改正の有無を確認する必要があります。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
改正要望は注目すべき動きですが、万一のタイミングは選べません。まずは今の制度で、誰に、いくら、どの形で残すかを整えることが大切です。

子育て相続の基準1:必要保障額は教育費と生活費から逆算する

子育て世帯の死亡保険では、節税額から先に決めるのではなく、遺族に必要な資金から逆算します。具体的には、末子が独立するまでの生活費、教育費、住宅費、配偶者の働き方、公的遺族年金を並べて、不足額を死亡保障で補う考え方です。
教育費の目安として、文部科学省の(令和5年度子供の学習費調査結果のポイント)では、幼稚園3歳から高校卒業までの15年間の学習費総額は、すべて公立で約614万円、すべて私立で約1,969万円と示されています。大学費用、受験費用、下宿費用はここに含まれないため、進路によって必要額はさらに変わります。
また、生命保険協会の要望資料では、大学生以下の子を扶養している人について、遺族の生活資金の備え等として必要と考える死亡保険金額が平均2,224万円である一方、実際の加入死亡保険金額は平均1,322万円とされています。これは業界団体の集計ですが、子育て世帯では「入っているから安心」とは限らないことを示す参考になります。
住宅ローンに団体信用生命保険が付いていれば、契約内容によっては死亡時に住居費の一部が軽くなる可能性があります。一方で、賃貸住まい、配偶者が時短勤務中、子どもが複数いる家庭では、保障額を小さくしすぎると生活の選択肢が狭まります。非課税枠は大切ですが、 必要保障額 を無理に非課税枠内へ収めることが目的ではありません。

子育て世帯が死亡保障を試算する順番

  • 1
    遺族年金や勤務先の弔慰金など、受け取れる公的・勤務先保障を確認します。
  • 2
    住宅ローン、家賃、管理費、固定資産税など、住まいにかかる費用を整理します。
  • 3
    子どもの進学時期ごとに、教育費の山場と貯蓄の取り崩し時期を確認します。
  • 4
    配偶者の収入見込みと働き方の変化を、数年単位で現実的に見積もります。
  • 5
    死亡保険金、預貯金、NISA資産の取り崩し順を決め、保障の過不足を調整します。

公的遺族年金は「もらえる前提」ではなく金額を確認する

死亡保障を考えるときは、公的遺族年金を必ず確認します。日本年金機構の(遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額))によると、2026年4月分からの遺族基礎年金は、子のある配偶者が受け取る場合、昭和31年4月2日以後生まれの人で年額847,300円に子の加算額が付きます。子の加算額は、1人目・2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です。
たとえば、子ども1人の配偶者であれば、遺族基礎年金は年額1,091,100円が目安になります。月額にすると約9.1万円です。会社員や公務員など厚生年金に加入している人が亡くなった場合は、要件を満たせば遺族厚生年金も加わりますが、亡くなった人の報酬比例部分などで金額が変わります。
なお、厚生労働省の(遺族厚生年金の見直しについて)では、遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行予定とされています。18歳年度末までの子どもを養育している間の給付内容は、見直しによる影響を受けないと説明されていますが、将来の制度変更は家計設計に関わります。公的保障は「ゼロではないが、生活費をすべて埋めるとは限らない」と考えるのが現実的です。

子どもを受取人にしたほうが節税になりますか?

配偶者ではなく子どもを受取人にしたほうが、相続税対策になりますか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
一概にはいえません。未成年の子が受取人になると、親権者による管理や遺産分割との関係を考える必要があります。配偶者の生活費、子どもの教育費、納税資金、家族関係を踏まえて設計するのが安全です。

子育て相続の基準2:受取人は「相続人かどうか」を必ず確認する

死亡保険金の非課税枠は、相続人が受け取る死亡保険金に適用されます。相続人以外の人が受け取る死亡保険金には、原則としてこの非課税枠は使えません。たとえば、内縁のパートナー、孫、兄弟姉妹などを受取人にする場合は、家族関係や相続人の有無によって税務上の扱いが変わるため注意が必要です。
子育て世帯では、受取人を配偶者にしているケースが多いですが、離婚、再婚、子の親権、前婚の子の有無などがあると、想定外の相続関係になることがあります。保険証券の受取人欄は、加入時のまま放置せず、結婚、出産、離婚、再婚、住宅購入など家族構成や資産状況が変わったタイミングで見直しましょう。
もう一つ大切なのは、契約者、被保険者、受取人の組み合わせです。この記事で扱っているのは、主に「亡くなった人が保険料を負担していた死亡保険金」が相続税の対象になるケースです。契約者と受取人の関係によっては、所得税や贈与税の対象になることがあります。名義を変える前に、保険会社や税理士などに確認すると安心です。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
生命保険は、税金を減らすためだけの商品ではありません。遺された家族がすぐ使えるお金を確保し、生活を立て直す時間をつくるための道具です。

子育て相続の基準3:非課税枠と基礎控除を混同しない

死亡保険金の非課税枠と、相続税の基礎控除は別物です。国税庁の(相続税の計算)では、基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算するとされています。死亡保険金は、まず非課税枠を差し引いたうえで、他の相続財産と合算され、基礎控除を超えるかどうかを見ます。
たとえば、法定相続人が3人なら、死亡保険金の非課税枠は1,500万円、相続税の基礎控除は4,800万円です。この2つを単純に足して「必ず6,300万円まで無税」と考えるのは危険です。財産の種類、債務、葬式費用、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、生前贈与の加算などで結果が変わります。
特に自宅不動産がある家庭では、相続税がかかるかどうかだけでなく、納税資金をどう用意するかも問題になります。死亡保険金は、指定した受取人が比較的早く請求できるお金として、葬儀費用、当面の生活費、納税資金に使いやすい面があります。

改正が実現しても、加入済み保険の見直しは必要

仮に将来、死亡保険金の非課税限度額が引き上げられても、すべての家庭で保険を増やすべきとは限りません。必要保障額がすでに足りている家庭では、保険料を増やすより、NISAで教育費や老後資金を積み立てるほうが合う場合もあります。
一方で、保障が不足している家庭では、非課税枠の議論をきっかけに、収入保障保険や定期保険を使って死亡保障を整える選択肢があります。収入保障保険は、万一の後に毎月一定額を受け取る形が一般的で、子どもの成長とともに必要保障額が減っていく家庭と相性がよいことがあります。定期保険は、一定期間にまとまった死亡保障を確保しやすい点が特徴です。
生命保険協会の(生命保険の動向 2025年版)では、2024年度末の個人保険の保有契約件数は1億9,530万件と17年連続で増加した一方、保有契約高は778兆9,902億円と減少しています。死亡保障を抑え、医療保障を充実させる近年の傾向が反映されているとされます。だからこそ、医療保険は手厚いけれど死亡保障が不足していないか、子育て世帯は一度確認しておきたいところです。

NISAやiDeCoと生命保険は役割が違う

NISAやiDeCoは、長期の資産形成に向いた制度です。値動きはありますが、将来の教育費、住宅資金、老後資金を育てる手段として活用できます。一方、生命保険は、契約直後に万一が起きても、まとまった保険金を残せる点が特徴です。
つまり、 NISA・iDeCo と死亡保険は競合ではなく役割分担です。子育て中は、万一への備えを生命保険で確保しつつ、使う時期が10年以上先のお金はNISAなどで育てる、という組み合わせが現実的です。
ただし、保険料を払いすぎて投資や貯蓄ができない状態も、逆に投資に偏りすぎて死亡保障が不足する状態も避けたいところです。死亡保険金の非課税枠は、保険を増やすための上限ではなく、家族に必要なお金を設計するときの税務上の確認ポイントと考えましょう。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    2026年9月時点の死亡保険金の非課税枠は、原則として「500万円×法定相続人の数」です。
  • 2
    令和9年度税制改正要望では、現行枠に配偶者分500万円と未成年の被扶養法定相続人分500万円を上乗せする案が示されていますが、まだ決定事項ではありません。
  • 3
    子育て世帯は、節税額より先に教育費、生活費、住宅費、公的遺族年金から必要保障額を逆算することが重要です。
  • 4
    受取人が相続人でない場合は非課税枠を使えない可能性があるため、保険証券の受取人欄と契約者・被保険者・受取人の組み合わせを確認しましょう。
  • 5
    NISAやiDeCoは資産形成、死亡保険は万一の即時資金として、家計全体で役割分担を考えることが大切です。

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