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【2026年7月更新】医療保険75歳以降|親の解約判断3基準

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山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2026年7月更新】医療保険75歳以降|親の解約判断3基準
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75歳以降の医療保険は「不要」と決めつけない

親が75歳を迎えると、原則として 後期高齢者医療制度 に加入し、医療費の窓口負担は1割、所得によって2割または3割になります。ここで迷いやすいのが、長年続けてきた民間の医療保険を75歳以降も残すか、解約するかという判断です。
「公的制度があるから医療保険はいらない」と言い切れれば簡単ですが、実際には親の所得、預貯金、持病、入院時の個室希望、子ども世帯が援助できるかで結論が変わります。この記事では、親の医療保険を解約する前に見るべき自己負担の3基準を、2026年7月時点の制度に合わせて整理します。

先に確認したい3つの基準

  • 1
    親の資格確認書などで、窓口負担割合が1割、2割、3割のどれに該当するかを確認します。
  • 2
    2026年8月診療分から予定されている高額療養費制度の見直しで、月ごとの上限額がどう変わるかを確認します。
  • 3
    民間医療保険の年間保険料と、入院一時金・手術給付金など実際に受け取れる給付金を比べます。
  • 4
    差額ベッド代、食事代、交通費、付き添い費用など、公的医療保険の対象外になりやすい支出を見積もります。

基準1:75歳以降の窓口負担割合を見る

75歳以上の人は、原則として後期高齢者医療制度に加入します。厚生労働省は、現役並み所得者を除き、75歳以上で一定以上の所得がある人は2割負担、現役並み所得者は3割負担と説明しています。2割負担の目安や判定方法は(後期高齢者の窓口負担割合の変更等)で確認できます。
解約判断では、まず親の資格確認書、マイナポータルの資格情報、または自治体・後期高齢者医療広域連合から届く書類で負担割合を見ます。1割負担なら医療費そのものは抑えやすい一方、2割・3割負担なら同じ検査や薬でも家計への影響が大きくなります。

親が1割負担なら医療保険は解約してよい?

母は75歳を過ぎて1割負担です。医療保険はもう解約しても大丈夫でしょうか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
1割負担なら医療費は抑えやすいですが、すぐ解約とは限りません。入院一時金、手術給付金、先進医療特約、保険料の負担額、預貯金の余力をセットで見て判断しましょう。

2割負担の配慮措置はすでに終了している

75歳以上の2割負担については、制度導入後に外来の負担増を月3,000円までに抑える配慮措置がありました。しかし、この措置は2025年9月30日で終了しています。
2026年7月時点では、一定所得のある親は2割負担がそのまま家計に反映されやすい状況です。厚生労働省は、配慮措置終了後も高額療養費制度により外来の自己負担上限は月18,000円、年間144,000円までと説明していますが、複数の診療科に通う、薬代が高い、検査が多い場合は、月単位・年単位の負担感が変わります。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
同じ医療保険でも、親の窓口負担が1割か3割かで、給付金のありがたみは変わります。まずは公的制度でどこまで守られているかを見える化しましょう。

基準2:高額療養費制度の上限額を見る

医療費が高額になったときは 高額療養費制度 により、1か月の自己負担に上限が設けられます。70歳以上の場合も所得区分ごとに上限が異なり、外来のみ、世帯合算、現役並み所得などで扱いが変わります。
厚生労働省は2026年6月25日更新の案内で、2026年8月から月額負担上限額の見直しを予定し、長期療養者に配慮するため新たに年単位の上限額を設けると説明しています。詳細は(高額療養費制度を利用される皆さまへ)を確認してください。親の医療保険を2026年7月に解約するなら、翌月以降の自己負担上限も必ず見ておきたいポイントです。

8月改正前に解約しても大丈夫?

保険料が高いので、7月中に解約したいです。8月の制度見直しは気にするべきですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
気にしたほうがよいです。高額療養費の月額上限が変わると、同じ入院でも手元資金の必要額が変わることがあります。解約するなら、少なくとも自己負担上限、食事代、差額ベッド代を払える現金を先に確保しましょう。

入院時の食事代も2026年6月から上がっている

入院費を考えるときは、医療費の自己負担上限だけでは足りません。入院時の食事代は高額療養費制度の対象外で、原則として別に支払います。
2026年6月1日から、後期高齢者医療などの食事療養標準負担額は、一般区分で1食550円に見直されています。低所得者区分では270円、長期入院に該当する場合は220円、低所得者Ⅰでは130円など、所得区分で異なります。厚生労働省の通知である(食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額の一部を改正する告示について)も、家族で一度確認しておくと安心です。
たとえば一般区分で30日入院すると、食事代だけで550円×3食×30日=49,500円です。医療費の上限とは別枠で現金が必要になる点は、解約判断で見落としやすいところです。

保険証券と家計で見るチェック項目

  • 1
    入院給付金が日額型か一時金型かを確認し、短期入院でも受け取りやすい契約かを見ます。
  • 2
    入院何日目から給付される契約かを確認し、古い契約で給付開始が遅くないかを見ます。
  • 3
    手術給付金の対象範囲、通院給付金、先進医療特約の有無を確認します。
  • 4
    年間保険料と過去数年の給付実績を並べ、続ける価値があるかを数字で比べます。
  • 5
    解約、減額、特約整理、払済など、保険料を下げる選択肢がないか保険会社やFPに確認します。

基準3:保険料と給付条件のバランスを見る

民間の医療保険は、入院日額、入院一時金、手術給付金、通院給付金など商品ごとに内容が違います。75歳以降は保険料が重く感じられる一方、古い契約では入院5日目からしか給付されない、通院が対象外、先進医療特約が付いていないなど、今の医療実態に合わない場合もあります。
生命保険文化センターは、厚生労働省「令和5年 患者調査」をもとに、退院患者の平均在院日数は28.4日、65歳以上では35.5日、70歳以上では36.7日と紹介しています。詳しくは(入院した場合、入院日数は何日くらい?)で確認できます。高齢期は若い世代より入院が長引きやすいため、単に「最近の入院は短いから不要」と決めるのも危険です。
解約前には、年間保険料と過去数年の給付実績を並べましょう。 保険料と給付条件 を比べると、感情的に「もったいない」と続けるより、家計に合うかどうかを判断しやすくなります。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
高齢期の医療保険は、毎月の保険料を下げることだけでなく、入院した月の現金不足を防げるかで考えると判断しやすくなります。

差額ベッド代や介護費は別枠で考える

公的医療保険や高額療養費制度があっても、すべての支出が上限内に収まるわけではありません。代表例が差額ベッド代、入院中の日用品、家族の交通費、退院後の住宅改修や介護サービス費です。
厚生労働省の中央社会保険医療協議会資料では、2024年8月1日現在、特別の療養環境の提供、いわゆる差額ベッド代の1日当たり平均徴収額は全体で6,862円、1人室では8,625円と示されています。詳しくは(主な選定療養に係る報告状況)で確認できます。
たとえば1人室を20日利用すると、8,625円×20日=172,500円です。これは高額療養費制度の対象外です。医療保険の入院一時金や日額給付金は、こうした 現金で払う費用 の穴埋めに使えることがあります。ただし、介護状態が長期化した場合は医療保険だけでは対応しきれないため、介護保険制度、預貯金、家族の支援体制も別に確認しましょう。

解約してよい可能性が高いケース

親の預貯金に余裕があり、窓口負担が1割で、加入中の医療保険の給付条件が古く、毎月の保険料が家計を圧迫している場合は、解約や減額を検討しやすいでしょう。
特に、短期入院に合わない古い日額型の保険を複数持っている、同じような保障を重ねている、本人が保障内容を把握できていない場合は見直し余地があります。いきなり解約するのではなく、特約の整理、保障額の減額、保険料払込方法の確認などで負担を下げられないかも見てください。

継続を検討したいケースと家族での話し方

一方で、親の窓口負担が2割または3割、慢性疾患で通院・入院リスクが高い、預貯金が少ない、子ども世帯が医療費を援助する可能性がある場合は、医療保険を急いで解約しないほうがよいことがあります。保険料が比較的軽く、入院一時金や手術給付金が実用的で、先進医療特約が付いている契約なら、家計の安全弁として残す選択もあります。
家族で話すときは、保険証券、保険料、給付内容、預貯金、年金収入、窓口負担割合、想定される入院時費用を1枚にまとめましょう。本人の認知機能に不安がある場合は、契約者、被保険者、受取人、指定代理請求人も確認しておくと、給付金請求時の混乱を減らせます。
また、75歳以降の親世代では、医療保険だけでなく預金、年金収入、NISA、相続対策とのバランスも大切です。医療・介護の予備費を現金で確保し、そのうえで余裕資金を運用や相続対策に回す順番が現実的です。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    75歳以降は後期高齢者医療制度に移るため、まず窓口負担割合が1割、2割、3割のどれかを確認します。
  • 2
    2割負担の配慮措置は2025年9月で終了しており、2026年7月時点では通院回数や薬代も含めた実質負担を見直す必要があります。
  • 3
    2026年8月診療分から予定される高額療養費制度の見直しと、2026年6月からの入院時食事代の引き上げを踏まえ、解約前に現金余力を確認します。
  • 4
    民間医療保険は、保険料だけでなく入院一時金、手術給付金、先進医療特約、給付開始日、保障の重複を確認します。
  • 5
    親の保険見直しは、子ども世帯の援助負担や介護費も含めて、家族で数字を共有してから決めることが大切です。

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