【2026年6月更新】一時払い終身保険2.25%|60代の買い時3基準
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

一時払い終身保険
予定利率2.25%
60代保険
相続対策
解約返戻金
NISA
円建て終身保険
目次
60代で一時払い終身保険を検討する人が増えている理由
2026年6月25日、業界大手の生命保険会社が、円建て一時払終身保険の予定利率を2026年7月1日契約分から1.75%から2.25%へ引き上げると公表しました。公表資料では、2.25%は1998年7月以来28年ぶりの水準、0.50%の引き上げ幅は1985年4月以来およそ41年ぶりとされています。退職金や長年の預金をどう置くか迷う60代にとって、円建ての 一時払い終身保険 は再び比較対象に入りやすくなっています。
ただし、2.25%という数字だけで「買い時」と判断するのは危険です。一時払い終身保険は、預金でも投資信託でもなく、死亡保障と相続対策を組み合わせた生命保険です。しかも、今回の利率改定はあくまで一部の保険会社・一部商品に関する公表であり、すべての一時払い終身保険に同じ条件が当てはまるわけではありません。この記事では、60代が契約前に確認したい買い時の3基準を、NISAや定期預金との違いも含めて整理します。
この記事で確認できること
- 12.25%の予定利率を見たときに誤解しやすいポイントを整理できます。
- 260代が一時払い終身保険を検討する目的を、相続・保障・資産保全に分けて確認できます。
- 3NISA、定期預金、個人向け国債と比べたときの役割の違いを把握できます。
- 4契約前に見るべき解約返戻金、税金、流動性の注意点をチェックできます。
- 5最後に、家計全体で判断するための相談手順がわかります。
2.25%は何が変わる数字なのか
今回話題になっているのは、業界大手が(一時払終身保険の保険料率の改定について)で公表した予定利率の引き上げです。予定利率が上がると、一般に同じ死亡保険金を確保するために必要な一時払保険料が下がったり、同じ保険料で準備できる死亡保険金が増えたりしやすくなります。
公表資料の例では、契約年齢60歳・死亡保険金1,000万円の場合、改定後の一時払保険料は男性で約663万円、女性で約605万円と示されています。また、60歳で一時払保険料1,000万円を入れる例では、改定後の死亡保険金額が男性で約1,508万円、女性で約1,653万円とされています。ここで大切なのは、 予定利率 は契約者がそのまま年2.25%で運用できるという意味ではないことです。保険会社が保険料を計算する際に用いる基礎率の一つであり、実際の返戻率や損益分岐年数は、年齢、性別、商品設計、手数料、解約時期によって変わります。
予定利率2.25%なら預金より得ですか?
2.25%と聞くと、定期預金よりかなり良さそうに見えます。60代ならすぐ契約してもよいのでしょうか?
すぐに決める前に、解約返戻金の推移を見てください。予定利率は魅力的な材料ですが、短期解約では元本割れする可能性があります。使う予定のあるお金は預金、長く使わない相続・保障目的のお金は一時払い終身保険、という分け方が基本です。
買い時基準1:相続や死亡保障の目的がはっきりしている
60代が一時払い終身保険を検討する最初の基準は、資産運用だけでなく死亡保障や相続対策の目的があるかどうかです。たとえば「配偶者にすぐ使えるお金を残したい」「子どもごとに受取人を指定したい」「預金の一部を相続手続きしやすい形にしたい」といった目的がある場合、生命保険の仕組みが役立つことがあります。
死亡保険金は、受取人を指定できる点が預金と異なります。相続税の課税対象となる場合には、一定の条件のもとで(相続税の課税対象になる死亡保険金)の非課税枠があります。具体的には、受取人が相続人である場合、500万円×法定相続人の数までが非課税限度額です。たとえば法定相続人が配偶者と子2人の合計3人なら、非課税限度額は1,500万円です。ただし、相続税がそもそもかからない世帯では、税メリットよりも「誰に、いつ、いくら渡したいか」の設計のほうが重要です。
一時払い終身保険の買い時は、利率が高い日ではなく、残したい相手と金額がはっきりした日です。
買い時基準2:10年以上使わない余裕資金である
2つ目の基準は、契約に回すお金が10年以上使わない余裕資金かどうかです。一時払い終身保険は、契約時にまとまった保険料を支払います。加入後に急な介護費、住宅修繕費、子ども・孫への援助などが必要になり、早期解約すると 解約返戻金 が一時払保険料を下回ることがあります。
60代は、現役時代より収入が下がる一方で、医療費や介護費の不確実性が高まりやすい時期です。契約前には、生活費の予備資金として最低でも数年分、医療・介護・住宅修繕のための現金、近い将来使う予定資金を分けたうえで、残ったお金の一部だけを検討するのが現実的です。
生命保険協会の(生命保険の動向 2025年版)によると、2024年度の個人保険の収入保険料は、一時払の構成比が39.9%で、月払の38.8%を上回っています。金利上昇局面で一時払への関心が高まっていることはうかがえますが、周囲が契約しているから自分にも合う、とは限りません。大切なのは、途中で取り崩さなくても生活が成り立つ金額に絞ることです。
契約前に見たい5つのチェック項目
- 1契約から3年後、5年後、10年後の解約返戻金額と返戻率を確認します。
- 2死亡保険金額が一時払保険料に対してどれくらい増えるかを見ます。
- 3受取人を誰にするかを、相続関係や家族の納得感も含めて考えます。
- 4生活費、医療費、介護費として残す現金を先に確保します。
- 5円建てを選ぶ場合も、インフレで実質価値が下がる可能性を考慮します。
買い時基準3:NISAや定期預金との役割分担ができている
3つ目の基準は、NISAや定期預金と役割を分けられていることです。2026年時点のNISAは、金融庁の(NISA特設ウェブサイト)でも説明されているように、非課税で投資できる制度です。年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の合計360万円、非課税保有限度額は総枠1,800万円です。値動きはありますが、長期で資産を増やす目的には向いています。
一方、円建て一時払い終身保険は、死亡保障や相続時の受取人指定に強みがあります。つまり、 NISA は「増やすお金」、定期預金や個人向け国債は「近く使う・守るお金」、一時払い終身保険は「残すお金」と考えると整理しやすくなります。
NISAを使い切ってから保険を考えるべきですか?
まだNISA枠が余っています。一時払い終身保険より、先にNISAを埋めたほうがよいですか?
目的によります。老後資金を増やしたいならNISAが有力です。一方、相続で特定の家族に現金を残したい、死亡保障を確保したいという目的なら一時払い終身保険も候補になります。どちらが上ではなく、目的別に金額を分けるのが大切です。
税金は契約形態で変わるので要注意
一時払い終身保険は、税金の見方も重要です。契約者、被保険者、死亡保険金受取人の組み合わせによって、相続税、所得税、贈与税のどれが関係するかが変わります。たとえば、契約者と被保険者が同じで、死亡保険金受取人が相続人であれば、一般に相続税の対象として考えます。
また、解約して利益が出た場合は一時所得として扱われることがあります。生命保険料控除についても、一時払いの場合は保険料を支払った年の控除に限られるのが基本で、控除額だけで商品を選ぶほどの効果は期待しすぎないほうがよいでしょう。大切なのは、 相続税の非課税枠 だけを目的にせず、家族構成と資産全体で判断することです。
なお、契約者と被保険者と受取人の関係を変えると、同じ保険金でも税目が変わります。親が契約者・被保険者で子が受取人なら相続税の検討、親が契約者で子が被保険者、別の子が受取人なら贈与税の検討が必要になることがあります。迷う場合は、契約前に税理士やFPへ確認しておくと安心です。
60代の保険選びでは、増えるかどうかより、途中で取り崩さずに済む金額かどうかを先に見てください。
60代のモデルケースで考える配分イメージ
たとえば、60代夫婦に預貯金2,000万円があり、年金生活に入る前後だとします。この全額を一時払い終身保険に回すのは現実的ではありません。生活防衛資金、数年以内の大きな支出、医療・介護の備えを現金や換金しやすい商品で確保し、それでも使う予定が薄い部分を相続・死亡保障目的で検討するほうが安全です。
一例として、生活費2〜3年分と住宅修繕費を普通預金・定期預金に置き、10年以上使わない運用資金をNISAに回し、家族に残したい資金の一部を一時払い終身保険で検討する、という分け方があります。仮に預貯金2,000万円のうち、当面使う資金を1,000万円、NISAなどの長期運用を500万円、相続・死亡保障目的を300万円、予備の現金を200万円といった具合に分けると、途中解約のリスクを下げやすくなります。
もちろん、この配分はあくまで考え方の例です。住宅ローンの有無、持病、親の介護、子どもへの援助予定、相続人の人数によって適切な金額は変わります。商品パンフレットの返戻率だけでなく、家計表と相続関係図を並べて考えることが大切です。
2026年6月時点での結論:買い時は人によって違う
一時払い終身保険の予定利率2.25%は、金利上昇局面の中で注目に値するニュースです。特に、円建てで死亡保障を確保したい60代、相続時に受取人を指定したい人、預金の一部を長期で動かさないと決められる人にとっては、比較する価値があります。
一方で、近い将来使う可能性があるお金、NISAで長期運用したいお金、介護費として残すべきお金まで保険に入れるのはおすすめしにくいです。2.25%という数字を入口にしつつ、最終判断は「目的」「期間」「税金」「家計の余力」の4点で行いましょう。
契約を急ぐ前に、複数社の商品で同じ条件の設計書を取り寄せ、死亡保険金、解約返戻金、税金、家族への渡し方を比較してください。迷う場合は、商品単体ではなく家計全体を見て確認するのが近道です。
まとめ:重要ポイント
- 1予定利率2.25%は注目材料ですが、契約者の実質利回りそのものではありません。
- 260代の買い時は、相続・死亡保障の目的が明確で、10年以上使わない余裕資金がある場合です。
- 3NISAは増やすお金、預金は近く使うお金、一時払い終身保険は残すお金として分けると判断しやすくなります。
- 4税金は契約者、被保険者、受取人の組み合わせで変わるため、契約前の確認が欠かせません。
- 5利率だけで決めず、解約返戻金、流動性、介護費、家族構成を合わせて見ましょう。
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