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【2026年7月更新】法人保険で節税できる?|損金と退職金3基準

更新:
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
【2026年7月更新】法人保険で節税できる?|損金と退職金3基準
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解約返戻金
中小企業

法人保険の節税は「税金が消える話」ではありません

法人保険で節税できるのか。中小企業の経営者や役員の方から、いまも多い相談です。結論から言うと、2026年7月時点では 法人保険の節税 は「保険料を払えば税金が消える」という単純な仕組みではありません。
2019年の税務取扱い見直し以降、定期保険や医療保険・がん保険などの第三分野保険は、最高解約返戻率に応じて損金算入や資産計上の考え方が整理されています。つまり、法人保険を検討するなら「今期いくら損金にできるか」だけでなく、「解約返戻金をいつ受け取り、何の支出に充てるか」までセットで見る必要があります。
なお、この記事は法人保険の考え方を整理するものです。個別契約の税務処理や申告判断は、必ず顧問税理士や税務署などに確認してください。

この記事で確認する3基準

  • 1
    保険料のうち、当期の損金にできる割合を確認します。
  • 2
    解約返戻金を受け取る時期と、課税所得への影響を確認します。
  • 3
    役員退職金などの出口資金と、損金算入の根拠を確認します。
  • 4
    保障目的、資金繰り、税務リスクの順に判断します。

基準1:損金算入は最高解約返戻率で変わる

法人が契約者となり、役員や従業員を被保険者とする定期保険などでは、保険料の経理処理が契約内容によって変わります。国税庁の(定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い)では、法人が保険金・給付金を受け取る契約などについて、保険料を原則として期間の経過に応じて損金算入する考え方が示されています。
ただし、保険期間が3年以上で、保険期間中に最も高くなる解約返戻率である 最高解約返戻率 が50%を超える契約は注意が必要です。国税庁の(定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い)では、一定額を資産計上し、後年に取り崩して損金算入するルールが示されています。
大まかには、最高解約返戻率が50%超70%以下なら一定期間に支払保険料の40%を資産計上、70%超85%以下なら60%を資産計上、85%超ならより厚く資産計上する仕組みです。返戻率が高いほど、当期の損金にできる割合は小さくなりやすいと考えてください。

法人保険に入れば法人税は必ず下がりますか?

法人保険の保険料を払えば、その分だけ法人税が安くなると思ってよいですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
当期の税負担が下がる場合はあります。ただし、資産計上が必要な契約もありますし、将来の解約返戻金や保険金は課税所得に影響します。入口の損金だけでなく、出口の使い道まで決めることが大切です。

「全額損金」だけで判断すると失敗しやすい

「全額損金になる保険がよい」と考えたくなりますが、全額損金の商品は解約返戻金が少ない、または掛け捨てに近い設計であることも多くなります。保険としての保障目的が明確なら有効ですが、退職金原資づくりや将来の資金準備を期待しすぎると、思ったほど資金が残らない可能性があります。
一方、返戻率が高い商品は資産計上額が大きくなり、当期の損金効果は限定されやすくなります。法人保険は「税金をなくす商品」ではなく、利益が出ている時期と将来の支出時期を合わせる 課税の繰り延べ と考えるほうが実態に近いでしょう。
なお、最高解約返戻率が70%以下で、年換算保険料相当額が一の被保険者につき合計30万円以下の場合など、例外的な取扱いもあります。提案書に「損金」と書かれていても、被保険者ごとの合計額や既存契約を含めて確認することが重要です。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
法人保険は税金を消す道具ではなく、会社を守る保障と資金のタイミングを整える道具として見るほうが安全です。

基準2:解約返戻金は出口で課税所得に影響する

法人保険で見落としやすいのが出口です。保険料を損金算入して当期利益を圧縮できても、将来の解約時に解約返戻金を受け取れば、課税所得に影響します。
厳密には、解約返戻金を受け取ったときに、帳簿上の保険積立金などの資産計上残高を取り崩し、差額が益金または損金になります。過去に保険料を大きく損金算入していて帳簿上の資産が少ない契約ほど、解約時に益金が大きく出やすい点に注意してください。
そのため、法人保険は「加入時」よりも「解約時」の設計が重要です。退職金、設備投資、借入金返済、事業承継費用など、同じ期に大きな損金や資金需要があるかを確認しないと、解約返戻金により利益が膨らみ、想定より税負担が重くなることがあります。

解約返戻金は何に使う前提で考えるべきですか?

10年後に解約返戻金が戻るなら、会社の貯金のように考えてもよいですか?
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
資金準備として使える面はありますが、普通預金とは違います。解約時期で返戻率が変わり、受取時には税務処理も発生します。退職金や設備投資など、使う年度と目的を先に決めておきましょう。

基準3:役員退職金は適正額と手続きがカギ

法人保険の出口としてよく使われるのが 役員退職金 です。代表者の退任時期に合わせて解約返戻金を受け取り、同じ事業年度に役員退職金を支給できれば、益金と損金のバランスを取りやすくなります。
ただし、役員退職金は金額がいくらでも損金になるわけではありません。国税庁の(退職給与)では、功績倍率法の考え方、役員退職給与の損金算入時期、分掌変更等の場合の取扱いなどが示されています。
一般的には、最終月額報酬、役員在任年数、功績倍率をもとに適正額を検討します。ただし、功績倍率に法律上の一律基準があるわけではありません。会社規模、同業他社の水準、役員の職責、過去の報酬推移などを踏まえ、顧問税理士と根拠を残すことが大切です。

加入前に確認したい実務チェック

  • 1
    保険の目的が、死亡保障、退職金準備、事業保障のどれかを明確にします。
  • 2
    最高解約返戻率、資産計上割合、年換算保険料相当額を提案書で確認します。
  • 3
    解約予定年度に、役員退職金などの出口支出があるか確認します。
  • 4
    退職金規程、株主総会議事録、取締役会議事録を事前に整えます。
  • 5
    保険料支払いで運転資金が圧迫されないか、月次資金繰りで確認します。

功績倍率だけでなく退任の実態も確認する

役員退職金では、計算式だけ整っていても安心とは限りません。株主総会議事録、取締役会議事録、退職慰労金規程、支給時期、退任後の役割など、実務上の証拠が重要です。
特に、退任したはずの役員が従来と同じ代表権や決裁権を持ち、勤務実態も大きく変わらない場合、退職金としての性格が疑われることがあります。分掌変更による退職金では、常勤から非常勤への変更、取締役から監査役への変更、給与のおおむね50%以上の減少など、職務内容が大きく変わった事実がポイントになります。
法人保険で準備した資金を退職金に充てるなら、保険設計だけでなく、退任時期、後継者への権限移譲、議事録、支給決議まで同じスケジュールで進める必要があります。
山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)
法人保険は、税理士、FP、保険担当者が同じ前提で話せて初めて、経営に役立つ設計になります。

法人保険が向いている会社、慎重に考えたい会社

法人保険が向いているのは、代表者に万一があった場合の借入金返済、従業員給与、取引先対応などに備える必要があり、かつ将来の退職金や事業承継の時期がある程度見えている会社です。保障と出口資金の時期が重なるほど、設計の意味が出やすくなります。
一方、毎期の利益が不安定な会社、近い将来に資金需要が読めない会社、保険料を払うと資金繰りが苦しくなる会社は慎重に考えるべきです。税負担を下げるために現金を減らしすぎると、本業の安全性を損なうことがあります。
目安としては、保険料を払った後も、毎月の固定費、借入返済、納税資金、賞与資金を無理なく確保できるかを確認しましょう。法人保険は長期契約になりやすいため、単年度の利益だけでなく、5年後、10年後の資金繰り表で見ることが欠かせません。

節税目的だけなら他の選択肢も比較する

法人保険だけが税務対策ではありません。役員報酬の見直し、企業型DC、設備投資、人材採用、福利厚生制度、経営セーフティ共済など、会社の状況によって検討すべき選択肢は変わります。
ただし、他の制度も「入れば安心」ではありません。たとえば経営セーフティ共済は、2024年10月1日以降に共済契約を解除して再加入した場合、解除の日から2年を経過する日までに支出する掛金は損金算入できない取扱いになっています。中小機構の(税制の特例に関する内容の変更について)でも、解約と再加入を前提にした節税策には注意が必要とされています。
法人保険も共済も、単年度の節税額だけで選ぶと出口で困ることがあります。経営者個人のNISAやiDeCo、役員報酬、退職金、会社の内部留保を分けて考え、会社と個人のキャッシュフローを一体で確認しましょう。

相談前に準備すると判断が早くなる資料

法人保険の相談では、直近3期分の決算書、今期の着地見込み、借入金一覧、役員報酬、既存の保険証券、退職金規程があると話が進みやすくなります。すべて完璧にそろえる必要はありませんが、会社のお金の流れが見える資料があるほど、無理な保険料設定を避けやすくなります。
既存契約がある場合は、解約返戻金の推移表、保険料の経理処理、被保険者ごとの年換算保険料相当額も確認しましょう。過去に加入した法人保険ほど、現在の税務ルールや会社の経営状況とズレていることがあります。
また、FPや保険担当者に相談する場合でも、最終的な税務判断は顧問税理士とすり合わせるのがおすすめです。保険は保障、税務、資金繰りが重なる分野なので、関係者が同じ資料を見ながら話すだけで、判断ミスをかなり減らせます。

まとめ:重要ポイント

  • 1
    法人保険の節税は、税金が消える仕組みではなく課税の繰り延べとして考えるのが現実的です。
  • 2
    損金算入割合は、最高解約返戻率、資産計上期間、年換算保険料相当額によって変わります。
  • 3
    解約返戻金は出口で課税所得に影響するため、役員退職金などの支出年度と合わせる設計が重要です。
  • 4
    役員退職金は適正額、退任実態、議事録や規程などの手続きをセットで整える必要があります。
  • 5
    保険料で資金繰りを圧迫しないよう、法人の保障、退職金、個人の資産形成を分けて確認しましょう。

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法人保険の損金や退職金設計は、会社の利益、役員報酬、既存保険、個人の資産形成まで合わせて見る必要があります。ほけんのAIなら、LINEで24時間AI相談を始められ、必要に応じて有資格者のオンラインFP相談へ進めます。相談は無料で、保険以外の選択肢も含めて整理できます。税務判断は税理士に確認しつつ、まずは資料の棚卸しから始めてみましょう。

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