【2026年7月更新】男性育休と生命保険|30代夫の不足額を3手順で確認
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

男性育休
生命保険
30代夫
不足額
遺族年金
出生後休業支援給付金
収入保障保険
目次
男性育休中こそ生命保険を見直す理由
子どもが生まれる前後は、喜びと同時にお金の不安が一気に増える時期です。とくに30代の夫が育休を取る家庭では、数週間から数か月の収入減、妻の産休・育休、出産準備費、保育園までのつなぎ資金が重なりやすくなります。
ただし、ここで大事なのは「育休で収入が下がるから、すぐ保険を増やす」ではありません。まずは 男性育休 による一時的な家計変化と、万一のときに家族へ残す 生命保険 の役割を分けて考えることです。この記事では、30代夫の不足額を3手順で確認し、保険を増やすべきか、貯蓄や公的制度で足りるのかを整理します。
この記事で確認できること
- 1男性育休中の収入減と、死亡保障の不足額を分けて考えられます。
- 2育児休業給付、出生後休業支援給付金、社会保険料免除の要点を押さえられます。
- 3遺族年金と教育費を踏まえ、30代夫に必要な死亡保障額の考え方がわかります。
- 4保険を増やす前に、家計・貯蓄・勤務先制度で確認すべき項目を整理できます。
男性育休は特別な制度から普通の選択肢へ
男性育休は、すでに一部の家庭だけの話ではなくなっています。厚生労働省の(令和6年度雇用均等基本調査の結果概要)では、男性の育児休業取得率は40.5%となり、前年度の30.1%から10.4ポイント上昇しました。育休を取得した男性のうち、産後パパ育休を取得した人の割合も60.6%です。
一方で、取得率が上がっても「家計の準備が十分」という意味ではありません。育休期間、会社の給与支給ルール、賞与月、住宅ローン、妻の復職時期によって、必要な備えは家庭ごとに大きく変わります。保険の見直しも、平均値ではなく自分の家計に落とし込むことが大切です。
最初に見るべきは育休中の月次赤字
男性育休でまず起きるのは、死亡リスクではなく月々の入出金の変化です。たとえば、夫の手取りが月28万円、妻の手取りが月22万円、生活費が月38万円の共働き家庭なら、夫が3か月育休を取っても給付金と貯蓄で吸収できるかもしれません。
反対に、住宅ローン、車のローン、保育用品、里帰り費用、上の子の保育料などが重なると、数か月だけ赤字になることもあります。この赤字は、原則として医療保険や生命保険で埋めるものではなく、生活防衛資金で備える領域です。目安としては、育休前に「育休期間中の毎月の不足額×取得月数」を別口座に置いておくと判断しやすくなります。
育休で収入が下がるなら生命保険を増やすべきですか?
夫が3か月育休を取る予定です。収入が下がるので、生命保険を増やした方がいいのでしょうか?
一時的な赤字は貯蓄で備えるのが基本です。生命保険を考えるのは、夫に万一があったとき、妻と子どもの生活費・教育費・住居費が不足する場合です。まず育休中の赤字と、死亡時の不足額を分けて試算しましょう。
給付金は2025年以降さらに手厚くなった
育休中の家計を考えるうえで、雇用保険から出る給付金は重要です。厚生労働省の(育児休業等給付について)では、出生時育児休業給付金、育児休業給付金に加え、2025年4月から始まった 出生後休業支援給付金 などが案内されています。
出生後休業支援給付金は、原則として両親がともに一定期間以上の育休を取る場合などに、子の出生直後の一定期間について上乗せされる制度です。通常の育児休業給付と合わせて「手取り10割相当」と説明されることがありますが、給付には上限や要件があります。高収入の人、片方の親が育休を取れない事情がある家庭、雇用保険の加入状況が異なる家庭では、実際の受取額が変わります。
生命保険で見るのは一時的な減収ではなく長期不足
育休中の家計赤字が20万円、30万円出るとしても、それだけを理由に大きな死亡保障を追加するのは慎重に考えたいところです。生命保険の中心は、夫が亡くなった後に家族が長く生活していくためのお金です。
30代夫の死亡保障で見るべきなのは、子どもが独立するまでの生活費、教育費、住居費、葬儀費用、妻の働き方の変化です。住宅ローンに団体信用生命保険が付いているなら、夫死亡時にローンが完済される可能性があります。一方、賃貸住宅や団信なしのローン、妻がしばらく時短勤務をする家庭では、不足額が大きくなりやすいです。
育休中の不安を全部保険で受け止めようとすると、保険料が重くなります。短期の赤字は貯蓄、長期の万一は保障、と役割を分けるだけで判断はかなり楽になります。
公的な遺族年金を先に確認する
夫に万一があったとき、会社員世帯では公的年金から遺族年金を受け取れる可能性があります。2026年度の(遺族基礎年金の年金額)は、昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者の場合、年847,300円に子の加算額が上乗せされます。子1人なら847,300円+243,800円で、年1,091,100円です。
会社員の夫が厚生年金に加入している場合は、条件を満たせば(遺族厚生年金)も対象になります。金額は亡くなった人の報酬比例部分の4分の3が基本で、加入期間が短い場合は300月とみなして計算される扱いがあります。正確な金額は標準報酬や加入履歴で変わるため、ねんきん定期便や勤務先の情報をもとに試算しましょう。
30代夫の不足額を出す3手順
- 1育休期間中の収入、給付金、賞与、固定費を月ごとに並べ、短期の赤字を確認します。
- 2夫に万一があった場合の遺族年金、団信、勤務先の弔慰金、貯蓄を合計します。
- 3子どもの独立までの生活費、教育費、住居費から公的保障と資産を差し引き、生命保険で埋める金額を決めます。
不足額のざっくり計算例
たとえば、夫35歳、妻33歳、0歳の子ども1人、賃貸住まいの家庭を考えます。夫に万一があった後、妻と子の生活費を月25万円、子どもが22歳になるまで22年間必要とすると、生活費だけで6,600万円です。ここに教育費や引っ越し費用などを加えます。
一方、遺族基礎年金を子1人で年約109万円、遺族厚生年金を仮に年50万円、妻の就労収入を年250万円、貯蓄を300万円と置くと、必要額は大きく下がります。もちろんこれは仮の数字で、実際には妻の働き方、実家の支援、保育園利用、住宅費で変動します。大切なのは「必要保障額=総支出−公的保障−貯蓄−今後の収入」として、足し算と引き算で考えることです。
教育費は幼児期より進学時に効いてくる
子どもが生まれた直後はおむつ代やベビー用品に目が向きがちですが、生命保険の不足額では将来の教育費も外せません。文部科学省の(令和5年度子供の学習費調査)では、年間の学習費総額は公立小学校で約36.7万円、公立中学校で約54.2万円、公立高等学校で約59.7万円などと示されています。
これは幼稚園から高校までの学校教育費、学校給食費、学校外活動費を含む調査で、大学費用は別に考える必要があります。夫の死亡保障を決めるときは、子どもが小さい今の支出だけでなく、15年後、18年後にまとまって出る教育費も含めましょう。
収入保障保険と定期保険はどちらが合いますか?
夫の保障を考えるなら、収入保障保険と定期保険のどちらがいいですか?
子どもが小さい家庭では、年数が経つほど必要保障額が減るため、毎月一定額を受け取る収入保障保険が合うケースがあります。一方、教育費や住宅の初期費用など一時金を厚めにしたい場合は定期保険も候補です。保険料だけでなく、受け取り方で選びましょう。
社会保険料免除は家計に効くが賞与月に注意
育休中は、一定の要件を満たすと健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。日本年金機構の(育児休業等を取得し、保険料の免除を受けようとするとき)では、毎月の報酬にかかる保険料の免除や、同月内に14日以上育休を取る場合の扱い、賞与保険料の免除要件が説明されています。
特に賞与は、育休期間に月末が含まれるだけでなく、2022年10月以降に開始した育休では、賞与月の末日を含んだ連続1か月超の育休などが要件になります。育休を数日ずらすだけで手取りが変わることもあるため、取得開始日と終了日、賞与支給月は勤務先の人事に早めに確認しましょう。
育休の取り方を決める前に、給付金、社会保険料、賞与、保険料を同じ表に並べると、家計の不安はかなり具体的になります。具体化できれば、必要以上に怖がらずに済みます。
保険を増やす前に避けたい3つの失敗
1つ目は、育休中の一時的な赤字をすべて保険で解決しようとすることです。短期資金は普通預金や生活防衛資金が向いています。
2つ目は、夫の死亡保障だけを厚くして、妻の保障を見落とすことです。妻が出産後に時短勤務や育休を取る場合、妻に万一があったときの家事・育児サービス費、夫の働き方の変更も家計に影響します。
3つ目は、古い保険を残したまま新しい保険を足すことです。独身時代の終身保険、医療特約、勤務先の団体保険、住宅ローンの団信を一覧にしてから、重複と不足を見分けましょう。
FP相談で確認したい資料
自分で計算する場合でも、育休と生命保険の見直しは数字が多くなります。相談前には、直近の給与明細、賞与明細、ねんきん定期便、加入中の保険証券、住宅ローンや家賃の情報、育休予定期間、妻の復職予定をそろえるとスムーズです。
ほけんのAIでは、チャットで家計や保険の悩みを相談し、その後に必要に応じて有資格者のFPへオンライン相談できます。予約はLINEで完結し、保険証券や家計メモがあると、現在の保障と不足額を一緒に棚卸ししやすくなります。
まとめ:重要ポイント
- 1男性育休の取得率は上昇しており、育休前の家計準備は多くの家庭に必要なテーマです。
- 2育休中の短期的な赤字は貯蓄で、夫に万一があった後の長期不足は生命保険で備えるのが基本です。
- 3遺族基礎年金、遺族厚生年金、団信、勤務先制度を差し引いてから死亡保障額を決めましょう。
- 4出生後休業支援給付金や社会保険料免除は家計に効きますが、要件や賞与月の扱いを必ず確認しましょう。
- 5保険を増やす前に、夫婦それぞれの保障、教育費、住宅費、貯蓄を一覧にして不足額を見える化しましょう。
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