【2026年1月更新】法人保険 節税の再点検|防衛特別法人税の影響と出口設計
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

法人保険
防衛特別法人税
解約返戻金
退職金10年ルール
名義変更70%ルール
グループ通算
はじめに:2026年に“法人保険”を見直す理由
決算対策としての 法人保険 は、2019年の通達改正以降「税の繰延べ」としての色合いが濃くなりました。さらに2026年4月開始の 防衛特別法人税(法人税額に4%上乗せ・年500万円の基礎控除)や、退職金と企業年金一時金の重複を調整する 退職金“10年ルール”(実務上は「前年以前9年」範囲の拡大)により、出口の税負担とタイミング設計が重要度を増しています。本稿は最新の一次資料に基づき、損金ルールの再確認から出口設計、2025/2026の実行タイミングまでを具体策で整理します。
2026年の前提整理(要点だけ先取り)
- 12019年通達の“最高解約返戻率”帯で損金・資産計上が決まる(50%超〜70%/70%超〜85%/85%超で按分と取崩開始時期が変わる)。
- 2名義変更“70%ルール”で、低解約期間に個人へ移す評価は帳簿側が基準になりやすい(安価移転の余地が縮小)。
- 3防衛特別法人税は、基準法人税額から年500万円の基礎控除後に4%を乗じる。通算グループや中間申告にも関与。
2019年の損金ルール(50・70・85%)の要点
2019年改正後は、解約返戻が高水準の保険料をその期に全損することは原則できません。最高解約返戻率に応じて一部は資産(前払)計上し、所定時期に均等で費用化します。具体的な区分(50%超70%以下/70%超85%以下/85%超)は、按分割合・資産計上期間・取崩開始のルールが明示されています。(No.5364-2 定期保険及び第三分野保険の保険料) に最新式と用語定義が整理されています。
名義変更“70%ルール”の実務注意
法人契約の権利を役員等の個人へ移す(名義変更)場合、低解約期間の“安価移転→個人で解約一時所得”の道は実務上ほぼ塞がれています。支給時の解約返戻金が帳簿上の資産計上額の70%未満なら、評価は帳簿側で行う取扱いが明示され、払済→復旧の“抜け道”も同趣旨で封じられました。評価根拠と適用開始時期は、国税庁の解説(保険契約等に関する権利の評価(36-37))で確認できます。
防衛特別法人税4%と基礎控除500万円の仕組み
防衛特別法人税は、2026年4月1日以後開始の各事業年度から適用されます。課税標準は「基準法人税額−基礎控除(年500万円)」で、税率は4%。基礎控除は事業年度が1年未満なら月割、通算グループでは配分、中間申告も対象です。申告書は法人税・地方法人税と一体様式(別表一次葉一)に追加されます。制度図解と様式のイメージは国税庁のパンフレット(防衛特別法人税が創設されました)が実務に有用です。
2025/2026で解約時期は変えるべき?
保険の返戻率ピークが2025年末〜2026年春です。2026年4月以降は防衛特別法人税4%と聞きました。解約を前倒しすべきですか?
税だけで判断せず、返戻率の月次カーブと退職金の時期を同じ画面で並べて試算しましょう。例えば基準法人税額1,200万円なら基礎控除後700万円×4%=28万円の上乗せです。28万円より返戻率の低下や退職金スケジュールのズレの方が大きいこともあります。
節税は“繰延べ”であるという現実と月次管理
解約時の差益は原則として益金化され、どこかの年度で税負担に向き合います。したがって、返戻率のピーク月・解約差益・退職金支給の年度内同期化を、月次で突き合わせる資金計画が重要です。保険積立金台帳や返戻率表の整備、取崩スケジュールの管理により、解約年の資金需要(借入返済・設備投資・賞与等)とぶつからないよう平準化します。電子帳簿保存法の実務では、解約・名義変更・退職金の社内決裁資料や根拠計算の保存要件(タイムスタンプ等)に留意してください。
出口では課税をゼロにできません。解約益・退職金・受取方式の“合図”を合わせることが、最終の手取りを守るいちばんの近道です。
解約益×退職金の相殺条件と社内規程
解約返戻金の受取差益はその期の益金です。これに対し、適正な算式と根拠で決定した 退職金 を同じ事業年度内に支給できれば、損益で相殺する設計が可能です。過大認定を避けるため、功績倍率・在職年数・業績との整合を就業規則や取締役会・株主総会議事録に明記し、算定根拠資料を残してください。2026年以降は「退職手当等の前年以前9年内の老齢一時金(DC等)受給」との重複期間で退職所得控除が調整されるため、退職金の時期や年金一時金の受取順を前広に見直す必要があります(制度の背景と適用開始は(退職所得控除の調整規定等の見直し(令和7年度改正))が分かりやすいです)。
退職金“10年ルール”(実務は9年調整)への対応アクション
- 1退職金・企業型DC/iDeCoの一時金の受取予定を“年表化”し、前年以前9年の重複区間を可視化する。
- 2退職金と年金一時金の“受取順”を検討し、控除の重複減少を最小化する年・順番に並び替える。
- 3退職金の源泉徴収票の提出義務化や、DC一時金の申告書10年保存など新事務要件を社内フローに組み込む。
- 4退任時期の前倒し/後ろ倒しを、返戻率のピークと防衛特別法人税の上乗せ(4%)の差額でシミュレーションする。
法人受取/遺族受取の税比較と資産移転
保険金の受取人が法人であれば益金、遺族であれば相続税(みなし相続財産)で扱いが異なります。死亡退職金・死亡保険金には「500万円×法定相続人」の非課税枠があり、受取設計によっては法人課税よりも手取りが有利になることがあります。一方、給与課税の整理や受取人・契約者の設計が不適切だと、役員賞与認定や否認リスクが高まるため、契約時点の設計と証跡管理が重要です。
防衛特別法人税の影響とタイミング戦略(数値で把握)
たとえば基準法人税額が800万円の年度に大口解約益が出ると、基礎控除後300万円×4%=12万円が上乗せです。基準法人税額が500万円以下の年度は実効負担はゼロですが、申告自体は必要です。通算グループは基礎控除の配分や課税事業年度の判定(親会社の年度基準)に注意し、中間申告においても防衛特別法人税の予定申告が発生します(制度要件は前掲パンフレットの“基礎控除・通算・中間”項をご参照ください)。税額より返戻率(例えばピークからの月差低下)や退職金の控除調整の影響が上回る場合も多く、数字での総合判断が大切です。
グループ通算・中間申告の留意点は?
通算グループで子会社側の事業年度がずれています。防衛特別法人税の課税年度はどこに合わせますか?
通算子は“通算親の事業年度”に合わせて課税事業年度を判定します。基礎控除500万円は配分、予定申告は令和9年4月開始以後に本格適用になります。社内で通算パラメータ表と別表一次葉一の作成手順を共有しておくと安心です。
駆け込み加入・短期解約/名義変更スキームのリスク
決算直前の高額加入や短期解約の反復は、目的が“利益調整のみ”と見なされやすく、損金否認の典型論点です。名義変更では“70%ルール”の評価により、安価移転が利益供与(給与・賞与)認定となるリスクがあります。2019年ルールに沿った仕訳・台帳、決裁・議事録、返戻率資料を整え、形式と実質の両面で説明可能性を高めましょう。
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まとめ:重要ポイント
- 12019年ルール下では“全損”は原則不可。最高解約返戻率で損金・資産の配分と取崩時期が決まる。
- 2名義変更“70%ルール”で安価移転の余地は縮小。評価・議事録・証跡の整備が必須。
- 3防衛特別法人税は基礎控除500万円後に4%上乗せ。通算・中間申告にも関与する。
- 4退職金“10年ルール”(実務は9年調整)により受取順・時期で控除額が変わる。年表化して設計を。
- 5解約益×退職金の“年度内同期”と返戻率ピークの見極めが、最終手取りを左右する。
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