【2026年8月更新】死亡保険と遺族厚生年金|40歳未満妻の不足額3手順
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執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

死亡保険
遺族厚生年金
40歳未満妻
遺族年金改正
不足額
収入保障保険
生命保険見直し
目次
40歳未満の妻は死亡保険を先に試算したい時期です
夫婦のどちらかに万一があったとき、残された配偶者の生活を支える柱は、公的年金、勤務先の保障、貯蓄、そして民間保険です。2026年8月時点でとくに確認したいのが、2025年6月に成立した年金制度改正に含まれる 遺族厚生年金 の見直しです。
影響を受けやすいのは、18歳年度末までの子がいない40歳未満の妻です。これまでの感覚で「夫が会社員なら遺族厚生年金がずっと出るはず」と考えると、必要な 死亡保険 の金額を少なく見積もる可能性があります。この記事では、不足額を大きく外さないための3手順を、家計の数字に落とし込める形で整理します。
この記事で先に押さえるポイント
- 12028年4月施行予定の見直しでは、子のない現役世代の配偶者の遺族厚生年金が原則5年間の有期給付へ整理されます。
- 2女性で施行直後に影響を受けやすいのは、18歳年度末までの子がいない、2028年度末時点で40歳未満の方です。
- 35年間の有期給付には加算や継続給付の仕組みもありますが、妻の収入や住居費によって不足額は大きく変わります。
- 4死亡保険は平均額で決めず、生活費、住宅費、勤務先保障、貯蓄を差し引いて必要額を出すことが大切です。
- 5保険料を増やす前に、預貯金、NISA、iDeCoとの役割分担を確認すると家計のバランスを崩しにくくなります。
2028年予定の見直しで何が変わるのか
厚生労働省は、遺族厚生年金の見直しについて、法律上は2028年4月施行予定と説明しています。公表情報では、女性の場合、施行直後に原則5年間の有期給付の対象となるのは「18歳年度末までのこどもがいない、2028年度末時点で40歳未満の方」です。詳しい制度趣旨は(遺族厚生年金の見直しについて)で確認できます。
大事なのは、制度がすぐに全員一律で変わるわけではないことです。すでに遺族厚生年金を受けている方、60歳以降に受給権が発生する方、18歳年度末までの子を養育している間の給付、2028年度に40歳以上になる女性は、今回の見直しによる影響を受けないとされています。一方、子のない30代妻は、5年後の家計を別に確認しておく価値があります。
子どもがいなければ死亡保険は多めに必要ですか?
夫が会社員で私は35歳です。子どもはいません。遺族厚生年金が5年になるなら、死亡保険は大きく増やすべきですか?
いきなり増額ではなく、まず5年目以降の生活費不足を見ます。制度上は有期給付加算や継続給付もありますが、ご自身の収入、住居費、貯蓄、転居の可能性で必要額は大きく変わります。死亡保険は公的保障で足りない期間と金額を埋めるのが基本です。
40歳未満妻の不足額は5年目以降に出やすい
子のない40歳未満の妻が見落としやすいのは、死亡直後の数年間ではなく、その後の生活再建期間です。厚生労働省の説明では、有期給付となる場合は有期給付加算により現在の遺族厚生年金額の約1.3倍となり、5年間の終了後も障害状態にある方や収入が十分でない方には継続給付の仕組みがあります。
ただし、継続給付は収入に応じて調整されるため、働いている妻なら「まったく出ない」とも「ずっと同じ額で出る」とも決めつけられません。だからこそ、死亡直後の5年間と 5年目以降 を分けて家計を見ます。夫の収入で住宅ローンや家賃の大部分を払っている世帯では、妻の収入だけで住居費を維持できるかが焦点になります。
死亡保険は、怖いから多く入るものではなく、公的保障と家計の差額を埋めるために設計するものです。
平均額は参考にとどめ、自分の家計で考える
生命保険文化センターの2024年度調査では、2人以上世帯の世帯普通死亡保険金額は平均1,936万円で、引き続き低下傾向とされています。調査の概要は(「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)」まとまる)で確認できます。
ただし、この平均額をそのまま自分の目安にするのは危険です。たとえば、家賃15万円で妻の手取りが月22万円の世帯と、団信付き住宅ローンが完済され妻の手取りが月30万円ある世帯では、必要な死亡保障はまったく違います。平均額は「世の中の加入状況」を知る材料であり、加入すべき金額そのものではありません。
不足額を出す3手順
- 1残された妻の毎月の生活費から、妻自身の手取り収入と見込める公的年金を差し引きます。
- 2不足する月額に、生活再建までの年数を掛けて、当面必要な生活資金を出します。
- 3住宅ローン、家賃、引っ越し費用、親の介護、車の維持費など大きな支出を足します。
- 4死亡退職金、弔慰金、団体保険、企業年金、現在の貯蓄を差し引きます。
- 5子なし世帯は、死亡直後の5年間と5年目以降の不足額を別枠で確認します。
手順1:遺族年金と勤務先保障を仮置きする
最初に行うのは、公的保障と会社の保障をざっくり棚卸しすることです。夫が会社員・公務員で厚生年金に加入している場合、一定の要件を満たすと遺族厚生年金の対象になります。ただし、子の有無、年齢、配偶者の収入、制度改正の適用時期で受け取り方が変わるため、ねんきん定期便だけで判断しないほうが安全です。
勤務先の死亡退職金、弔慰金、団体保険、企業年金も確認しましょう。会社員世帯では、ここを見落として死亡保険を過大にするケースがあります。一方、自営業やフリーランスに近い働き方では、厚生年金部分や会社保障が薄くなりやすいため、民間保険の役割が大きくなります。
収入保障保険と定期保険はどちらが合いますか?
不足額が毎月の生活費なら、まとまった死亡保険金より収入保障保険のほうが合いますか?
生活費の不足を毎月補う目的なら収入保障保険は相性がよいです。一方、住宅費の一括支払い、引っ越し、当面の生活再建資金など大きな支出があるなら、定期保険を組み合わせる考え方もあります。
手順2:5年目以降の生活費を別に見る
40歳未満の妻で子がいない世帯は、遺族厚生年金が一定期間で区切られる可能性を踏まえ、5年目以降の生活費を別に試算します。たとえば、妻の手取りが月22万円、必要生活費が月28万円なら、毎月6万円の不足です。5年目以降も10年間この不足が続くなら、単純計算で720万円が目安になります。
ここに家賃更新、引っ越し費用、車の買い替え、医療費の自己負担などを加えると、必要額はさらに変わります。逆に、死亡後に住宅ローンが団体信用生命保険で完済される、実家近くに転居して住居費が下がる、妻の収入が上がる見込みがあるなら、不足額は小さくできます。
生活費の不足が10年続くなら10年分を中心に、住宅費や葬儀費用のような一時金は別に考えると、保険料を抑えながら備えやすくなります。
手順3:死亡保険の種類を目的で分ける
不足額が見えてきたら、商品名ではなく目的から選びます。毎月の生活費を補いたいなら収入保障保険、一定期間だけ大きな保障を持ちたいなら定期保険、葬儀費用や相続の受け渡しまで考えるなら終身保険が候補になります。
ただし、40歳未満の妻の生活保障を考える場面で、終身保険だけで大きな死亡保障を用意すると保険料が重くなりやすいです。子育て前後や住宅購入前後など、家計が変わりやすい時期は、見直しやすい定期型の保障を中心に考えると調整しやすくなります。大切なのは、保険の種類を先に決めるのではなく、 必要保障額 と必要期間を先に決めることです。
子どもがいる場合は遺族基礎年金と教育費をセットで見る
同じ40歳未満の妻でも、18歳年度末までの子がいる場合は考え方が変わります。子のある配偶者は遺族基礎年金の対象になり得るため、子がいない場合より公的保障が厚くなることがあります。日本年金機構の2026年6月更新情報では、令和8年4月分からの遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者で年847,300円に子の加算額を足した額です。子の加算額は1人目・2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円とされています。詳しくは(遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額))で確認できます。
一方で、教育費、住居費、育児中の働き方の制約が加わるため、死亡保険の必要額が小さくなるとは限りません。死亡保険で大学費用を全額まかなう方法もありますが、児童手当、貯蓄、NISAでの教育資金準備、親族からの援助可能性を合わせて、過不足を調整するほうが現実的です。
NISAやiDeCoとの配分も同じ家計で見る
死亡保険の不足が見えると、保険料を増やす方向に意識が向きがちです。しかし、家計全体では NISA やiDeCo、預貯金、住宅ローン返済も同じ財布から出ています。金融庁の(NISAを知る)では、2024年からのNISAについて、つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円、合計年360万円まで、非課税保有限度額は1,800万円と説明されています。
とはいえ、NISAは元本保証ではなく、死亡直後に必要なお金を確実に用意する仕組みではありません。目安としては、死亡直後に必要なお金は保険、数年以内に使うお金は預貯金、10年以上先の資金はNISAやiDeCoも含めて検討します。iDeCoは原則として老後資金向けで途中引き出しが難しいため、死亡保障の不足を埋める資金としては扱いに注意が必要です。
こんな世帯は早めに見直しを始めたい
2028年の制度変更を待ってからではなく、いまのうちに死亡保険と遺族年金をセットで確認したい世帯があります。たとえば、夫の収入割合が高い子なし夫婦、妻が扶養内または非正規で働いている世帯、住宅ローンや家賃の負担が重い世帯、貯蓄が生活費6か月分未満の世帯です。
一方、妻の収入が十分にあり、夫婦それぞれが自立して生活できる家計なら、死亡保険を大きく増やす必要はないかもしれません。制度改正のニュースを見て焦るのではなく、自分の家計に置き換えて、5年目以降にいくら不足するかを確認することが先です。保険証券、ねんきん定期便、勤務先の福利厚生資料、住宅ローンの団信内容、毎月の生活費メモをそろえると、見直しはかなり進めやすくなります。
まとめ:重要ポイント
- 12028年4月施行予定の遺族厚生年金見直しでは、子のない40歳未満妻が影響を受けやすいとされています。
- 2有期給付加算や継続給付の仕組みはありますが、妻の収入や住居費によって5年目以降の不足額は変わります。
- 3不足額は、妻の収入、公的年金、勤務先保障、貯蓄、住宅費を差し引いて家計ごとに出すことが重要です。
- 4生活費の不足には収入保障保険、大きな一時支出には定期保険など、目的と期間で使い分けましょう。
- 5保険料を増やす前に、預貯金、NISA、iDeCoとの配分を家計全体で確認しましょう。
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