【2025年12月更新】学資保険 離婚の落とし穴｜贈与税線引きと名義手順（個別相談可）

離婚の話し合いで後回しにされがちな 学資保険。名義と受取のズレが続くと「途中解約」「差押え」「課税増」など、教育資金が目減りするリスクが現実化します。しかも、2024年の法改正で財産分与の請求期間は「2年→5年」に延長されました（詳細は (民法等改正の解説資料)）。この記事では「財産分与の正しい評価」「贈与税の線引き」「名義変更の段取り」「共同親権2026対応」まで、一次情報リンク付きで実務的に整理します。

離婚時、学資保険は婚姻中に拠出した共有財産として扱うのが原則です。評価は通常、離婚時点の「解約返戻金相当額」を基準にします。法改正で財産分与の請求期間は離婚後5年に延長されました（ (民法等改正の解説資料)／(法務省の改正案内ページ)）。旧来の“2年”前提で動くと取り返しがつかないため、早期に評価・合意・書面化まで一気に進めましょう。

婚姻前からの契約や、片方の親族からの贈与・相続を原資として積み立てた部分は「特有財産」として分与対象外になり得ます。いずれにせよ、学資保険の取り扱いは離婚協議書や公正証書で具体的に条項化し、契約者変更義務・代償金の額・支払い期日まで明記を。公正証書の基本は (離婚の公正証書ガイド) が参考になります。

満期金をすでに学費として支出済みなら、実体に即した評価（分与対象に含めない和解など）に落ち着くこともあります。ただし例外的取り扱いで、合意が曖昧だと揉めます。用途や支出証憑を揃え、離婚協議書・調停調書に「支出済みの満期金は分与対象外」と具体記載するのが安全です。

税務の原則はシンプルです。満期金の受け取りで税区分が変わる決定要因は「誰が保険料を負担し（契約者）」「誰が受け取るか」です。契約者＝受取人なら所得税（満期一括は一時所得、年金形式は雑所得）。契約者と受取人が異なるなら贈与税の対象となります（根拠は (贈与税がかからない場合) と (離婚して財産をもらったとき) の両ページの整理を参照）。離婚の財産分与として適正に行われる移転は通常、贈与税の対象外ですが、過大な移転や仮装離婚は課税され得ます（同ページの注意書き参照）。

直系尊属から教育資金を目的に一括贈与した場合、所定の管理契約に基づき最大1,500万円まで贈与税が非課税になる特例があります。適用期限は2026年3月31日、年齢・所得要件や使途の管理・報告など条件が多いので、利用時は金融機関・税務署と事前に擦り合わせを（制度の一次情報は (教育資金一括贈与の非課税)）。

離婚後の教育資金を確実に守るには、契約者（名義）と満期金の受取人を親権者へそろえるのが基本です。典型手順は「証券と番号の確認→保険会社へ契約者変更申出→指定書類の準備（本人確認・戸籍・離婚協議書等）→新旧契約者の署名提出→完了通知の確認」。商品によっては“契約者変更不可”や“新契約者の告知・審査が必要”の条件があり得ます。加入中商品の約款・手続案内で可否や必要書類を必ず確認し、不可の場合は次の代替策へ。

契約者変更は原則、現契約者の申出が必要です。非協力・不在時は、離婚調停・審判で「契約者変更に応じる義務」「代償金支払い」を条項化し、実効性は公正証書の 強制執行認諾 で担保します。公正証書の基本や強制執行の考え方は (離婚の公正証書ガイド) を確認して作り込みましょう。

満期直前は、贈与税の課税を避けるために「契約者＝受取人」へ先に整えることが重要です。満期後に据置・分割へ切り替える場合も、誰が受け取り、どの税目になるかを先に設計します。離婚の財産分与として適正に行うなら贈与税は通常かかりませんが、契約者≠受取人のままは課税リスクが高い点を忘れないでください（原則は (贈与税がかからない場合) と (離婚して財産をもらったとき) で確認できます）。

2026年4月1日施行の改正では、離婚後も父母双方を親権者（共同親権）に定める選択肢が加わります。共同親権下の「監護教育に関する日常の行為（単独行使可）」と、それ以外（共同行使・家庭裁判所手続で行使者指定可）が整理されました。金融手続の多くは“日常”に当たらないため、満期金や据置・解約などは事前に運用ルールを合意し、必要に応じて家庭裁判所で行使者指定を検討します。制度の概要は (民法等改正の解説資料) と (改正案内ページ) を参照。未成年が受け取り主体になる場面では、利益相反を避けるための特別代理人選任の段取りも準備しておきましょう。

契約者変更ができない商品、または変更で贈与税リスクが高い場合は、（1）親権者側が契約維持→解約返戻金相当額の一部を代償金で調整、（2）満期金の「契約者＝受取人」設計へ切り替え、（3）やむを得ず受取人を親権者以外にする場合は教育資金一括贈与などで非課税枠の活用——の順で検討します。税務の原則は (離婚して財産をもらったとき) と (贈与税がかからない場合) を必ず確認し、専門家に併走してもらいましょう。