【2026年9月更新】生命保険料控除と特定親族特別控除|年末調整3基準
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執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

生命保険料控除
特定親族特別控除
年末調整
扶養控除
大学生 アルバイト
子育て世帯 6万円特例
保険見直し
目次
大学生のアルバイト収入で年末調整の見方が変わります
2026年の年末調整では、大学生年代の子どものアルバイト収入をどう見るかが、前年までより重要になります。とくに混同しやすいのが 生命保険料控除 と 特定親族特別控除 です。
生命保険料控除は、納税者本人が支払った一定の生命保険料について所得から差し引ける制度です。一方、特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の子どもなどが一定の所得を得ていても、親側が段階的に控除を受けられる制度です。
この記事では、2026年9月時点の国税庁資料をもとに、年末調整で迷いやすい「子どもの年齢と所得」「生命保険料控除の6万円特例」「申告書の書き分け」の3基準で整理します。税制上の扶養と社会保険上の扶養は別の制度なので、この記事では主に所得税の年末調整を扱います。
まず押さえる年末調整3基準
- 1子どもが扶養親族に当たるかを、年齢だけでなく合計所得金額で確認します。
- 219歳以上23歳未満の子どもが働いている場合は、扶養控除か特定親族特別控除かを分けて考えます。
- 3生命保険料控除は、一般・介護医療・個人年金の区分と年間保険料を控除証明書で確認します。
- 4子育て世帯の一般生命保険料控除6万円特例は、所得税の3区分合計上限12万円が変わらない点に注意します。
- 5勤務先へ出す前に、保険料控除申告書と扶養控除等申告書を別々に点検します。
2026年9月時点の焦点は控除の同時改正です
国税庁は、令和7年度税制改正による基礎控除や給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の創設について案内しています。制度の全体像は(令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について)で確認できます。
さらに2026年分については、令和8年度税制改正で基礎控除や給与所得控除の最低保障額が見直され、扶養親族等の所得要件にも変更があります。国税庁の(源泉所得税の改正のあらまし)では、2026年・2027年分の給与収入だけの場合、扶養親族の所得要件は給与収入136万円以下、特定親族特別控除の対象範囲は給与収入136万円超197万円以下とされています。
同じ資料では、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の新生命保険料に係る一般生命保険料控除の特例について、適用期限が2027年分まで延長されたことも示されています。つまり2026年の年末調整は、子どものアルバイト収入と保険料控除を、前年と同じ感覚で処理しないことが大切です。
子どもがアルバイトをしていると6万円特例も使えますか?
大学生の子どもがアルバイトでかなり稼いでいます。特定親族特別控除の対象なら、生命保険料控除の6万円特例も使えますか?
ここは分けて確認しましょう。6万円特例は、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料控除の話です。子どもの所得が増えて扶養親族ではなく特定親族に該当する場合、その子を理由に6万円特例を使えるとは限りません。子どもの年齢だけでなく、所得区分を確認することが大切です。
基準1:子どもが扶養親族か特定親族かを分ける
最初の基準は、子どもが「扶養親族」なのか「特定親族特別控除の対象」なのかを分けることです。
国税庁の(No.1177 特定親族特別控除)では、特定親族特別控除について、生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等で、合計所得金額が一定範囲にある人が対象になると説明されています。2026年分以後の所得税では、特定親族の合計所得金額が62万円超123万円以下の場合、控除額は3万円から63万円の範囲で段階的に決まります。
給与収入だけで考えると、2026年・2027年分はおおむね次の見方になります。給与収入136万円以下なら扶養親族の判定を確認し、19歳以上23歳未満で要件を満たせば特定扶養親族として扶養控除の対象になります。給与収入136万円超197万円以下なら、扶養控除ではなく特定親族特別控除を検討します。給与収入197万円を超えると、特定親族特別控除の対象外になります。
ここでのポイントは、生命保険料控除の子育て世帯特例とは判定軸が同じではないことです。親から見ると同じ「子どもの話」でも、扶養控除、特定親族特別控除、生命保険料控除では、見ている条件が異なります。
控除は名前が似ていても、対象者と申告書が違います。年末調整では「同じ子どもの話だから一緒」と考えず、制度ごとに判定するのが安全です。
基準2:生命保険料控除は区分と上限を確認する
次の基準は、加入している保険がどの控除区分に入るかです。生命保険料控除には、主に一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除があります。
2026年分・2027年分の所得税では、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険契約等に係る一般生命保険料控除の控除限度額が4万円から6万円に広がります。年間の新生命保険料が12万円を超える場合は、一般生命保険料控除額が一律6万円になります。
ただし、介護医療保険や個人年金保険まで自動的に6万円になるわけではありません。また、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除を合わせた所得税の適用限度額は 3区分合計12万円 のままです。すでに介護医療保険や個人年金保険で上限に近い人は、一般生命保険料控除の上限が広がっても、実際の節税効果が限定的になることがあります。
なお、この記事で扱う6万円特例は所得税の話です。住民税の生命保険料控除は限度額の考え方が異なるため、自治体の計算や勤務先の案内もあわせて確認してください。
年末調整前にそろえる書類と情報
- 1生命保険会社から届く生命保険料控除証明書を、契約ごとに保管します。
- 2子どものアルバイト収入見込みを、給与明細や勤務先のシフト見込みで確認します。
- 3扶養控除等申告書では、子どもの年齢、生計同一、所得見込みを確認します。
- 4特定親族特別控除を受ける場合は、勤務先が求める申告欄や添付書類を確認します。
- 5保険料控除申告書では、一般・介護医療・個人年金の区分を控除証明書どおりに転記します。
基準3:申告書は混ぜずに書く
3つ目の基準は、申告書の役割を混ぜないことです。生命保険料控除は、基本的に保険料控除申告書と保険会社の控除証明書で確認します。一方、扶養親族や特定親族特別控除は、扶養控除等申告書や特定親族特別控除に関する申告欄で確認します。
同じ年末調整でも、生命保険料控除は「自分が支払った保険料」、特定親族特別控除は「子どもなど親族の年齢と所得」が中心です。ここを切り分けるだけで、記入ミスはかなり減らせます。
たとえば、親が一般生命保険、医療保険、個人年金保険に加入している場合、まず控除証明書の区分を確認します。そのうえで、子どもの給与収入見込みが136万円以下なのか、136万円超197万円以下なのかを別に確認します。保険の区分と子どもの所得判定を同じ欄で考えようとしないことが、年末調整のつまずきを避ける近道です。
保険を増やせば税金は必ず得になりますか?
一般生命保険料控除の上限が6万円になるなら、今から生命保険を増やしたほうが得ですか?
控除だけを目的に保険を増やすのはおすすめしません。所得控除は税負担を軽くする仕組みですが、支払う保険料そのものは家計負担です。死亡保障や教育資金への備えとして必要か、預貯金やNISAとのバランスも含めて考えましょう。
よくあるミスは年齢だけで判断すること
年末調整で多いミスは、子どもが23歳未満だから自動的にすべての特例が使える、と考えてしまうことです。
生命保険料控除の子育て世帯特例では 23歳未満の扶養親族 が重要です。一方、特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の親族が一定の所得範囲にある場合に検討します。つまり、子どもの収入が増えた結果、扶養親族ではなくなるケースでは、生命保険料控除の6万円特例の判定にも影響する可能性があります。
また、子ども本人の税金や社会保険の扶養は、親の所得税控除とは別に確認が必要です。アルバイト先で社会保険に加入するか、親の健康保険の被扶養者でいられるかは、税金とは異なる基準で判定されます。年齢、所得、保険料、社会保険の4つを分けて確認しましょう。
年末調整は税金を整える大切な機会ですが、本当に見直したいのは控除額だけではありません。教育費、保障、資産形成の優先順位まで一緒に見ると、家計の迷いが減ります。
NISAや教育費との配分も同時に見直す
子どもが大学生年代になると、教育費のピークと老後資金づくりが重なりやすくなります。生命保険料控除で税負担が軽くなるとしても、保険料を払いすぎて毎月の貯蓄やNISAの積立が止まってしまうと本末転倒です。
2026年9月時点では、2027年からNISAのつみたて投資枠の対象年齢下限を撤廃する改正も予定されています。子どもの将来資金づくりの選択肢は広がりますが、教育費として近い時期に使うお金まで値動きのある商品に置くのは慎重に考えたいところです。
死亡保障が必要な家庭では、定期保険や収入保障保険で必要額を確保し、教育費の支払い時期が近い家庭では預貯金など流動性の高い資産を厚めにする考え方が現実的です。控除は家計改善の入口として使い、保険と資産形成のバランスを見直しましょう。
勤務先へ出す前の最終チェック
提出前には、生命保険料控除証明書の区分、子どもの所得見込み、申告書の記入欄をもう一度確認します。とくに2026年は制度改正が重なっているため、前年と同じ感覚で記入すると、控除の取り漏れや誤申告につながるおそれがあります。
確認の順番は、まず子どもの給与収入見込みを集め、扶養親族か特定親族かを判断します。次に、生命保険料控除証明書の「一般」「介護医療」「個人年金」の区分を確認します。最後に、勤務先の年末調整システムや申告書で、入力欄を取り違えていないか見直します。
不安な場合は、勤務先の年末調整担当者、税務署、税理士などに確認しましょう。あわせて、保険料の払い方や保障額そのものに迷う場合は、FPに家計全体を見てもらうと整理しやすくなります。
まとめ:重要ポイント
- 12026年・2027年分は、給与収入だけの場合、扶養親族はおおむね136万円以下、特定親族特別控除は136万円超197万円以下が目安になります。
- 2特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の親族の所得に応じて3万円から63万円の控除を受ける制度です。
- 3生命保険料控除の6万円特例は、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の新生命保険料に係る一般生命保険料控除が中心です。
- 4保険料控除申告書と扶養控除等申告書は、見ている情報が違うため混ぜずに点検することが大切です。
- 5控除額だけで保険を増やさず、教育費、死亡保障、NISA、老後資金の優先順位を整理しましょう。
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