【2026年6月更新】個人年金保険で月40万円|共働き夫婦の不足額3基準
更新:
執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

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年金不足額
目次
共働き夫婦が「老後月40万円」を考える理由
老後資金の相談で増えているのが、夫婦ともに働いてきた世帯からの「年金だけで生活水準を落とさず暮らせるのか」という不安です。旅行、住宅修繕、親族への支援、医療・介護の備えまで含めると、毎月40万円を目標にしたい家庭も少なくありません。
この記事では、 個人年金保険 で月40万円の老後収入を目指す前に、公的年金、生活費、NISA・iDeCoとの配分を3つの基準で整理します。結論から言うと、個人年金保険だけで月40万円を作るより、公的年金で土台を確認し、不足分を複数の手段で埋める設計が現実的です。
最初に確認したい3基準
- 1夫婦それぞれのねんきん定期便やねんきんネットで、65歳以降の公的年金見込み額を確認します。
- 2老後に維持したい生活費を、基本生活費、ゆとり費、医療・介護予備費に分けます。
- 3不足額を個人年金保険、NISA、iDeCo、預貯金でどう分担するかを決めます。
- 4保険料を増やす前に、住宅ローン、教育費、親の介護費との同時進行を確認します。
月40万円は「ぜいたく」ではなく設計次第の目標額
老後月40万円という数字は、平均的な支出より高めです。総務省の(家計調査報告 2025年平均結果)では、二人以上世帯の消費支出は月314,001円、二人以上の勤労者世帯では月346,297円でした。さらに、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、消費支出が月263,979円、可処分所得が月221,544円で、月42,434円の不足となっています。
一方で、都市部で住宅関連費が残る、車を持ち続ける、年1回以上の旅行を続ける、医療・介護への備えを厚めにする場合は、月30万円台では足りない家庭もあります。生命保険文化センターも、総務省家計調査をもとに(老後の生活費はどれくらい?)で夫婦高齢者無職世帯の消費支出を約26.4万円と紹介しています。月40万円は平均値ではなく、「夫婦が望む暮らしを維持するための目標額」として置く数字です。
共働きなら年金だけで月40万円に届きますか?
夫婦とも会社員なら、老後の年金だけで月40万円くらい受け取れるのでしょうか?
高収入期間が長い夫婦なら近づく可能性はありますが、一般化はできません。夫婦それぞれの給与、加入期間、育休・時短期間、転職歴で大きく変わるため、平均額ではなく自分たちの見込み額を確認することが第一歩です。
基準1:公的年金でいくら見込めるか
日本年金機構の(令和8年4月分からの年金額等について)では、2026年度の老齢基礎年金の満額は月70,608円、標準的な厚生年金額は夫婦2人で月237,279円と示されています。ただし、この標準例は、平均的な収入で40年間就業した夫と、専業主婦の妻という前提です。共働き夫婦の実態とは一致しない場合があります。
厚生労働省の(令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況)では、厚生年金保険の老齢年金平均月額は、老齢基礎年金を含めて151,142円です。男女別の老齢年金受給権者平均では、男性169,967円、女性111,413円となっており、単純に足すと約28.1万円です。もちろん、これは現在の受給者の平均であり、将来の受取額を保証するものではありません。共働き夫婦ほど、平均値ではなく ねんきん定期便 の数字で確認しましょう。
老後資金は「月40万円が必要か」よりも、「わが家の年金で月40万円に何万円足りないか」から考えるほうが、保険も投資も選びやすくなります。
不足額は「月40万円−夫婦の年金見込み額」で見る
たとえば、夫婦の公的年金見込み額が月30万円なら、月40万円との差は月10万円です。65歳から85歳まで20年間なら不足額は2,400万円、95歳まで30年間なら3,600万円になります。
夫婦の見込み額が月35万円なら不足は月5万円で、20年間なら1,200万円、30年間なら1,800万円です。反対に、見込み額が月24万円なら不足は月16万円で、20年間でも3,840万円になります。ここで見るべきなのは、世間の平均ではなく、わが家の 不足額 です。
不足額を試算する手順
- 1ねんきん定期便で、夫婦それぞれの65歳以降の年金見込み額を確認します。
- 2現在の生活費から、退職後に減る費目と残る費目を分けます。
- 3月40万円から公的年金見込み額を引き、毎月の不足額を出します。
- 4不足額に20年、25年、30年を掛けて、長生きした場合の総額を確認します。
- 5不足額のうち、確実に受け取りたい部分だけを個人年金保険で検討します。
基準2:支出は平均額より「固定費の残り方」が重要
老後の生活費は、食費や光熱費だけでは決まりません。共働き夫婦の場合、現役時代の生活水準が高く、退職後も外食、旅行、趣味、車、孫への支出を続けたいケースがあります。さらに、マンション管理費、修繕積立金、固定資産税、医療費、介護サービスの自己負担は、年齢が上がるほど重くなりやすい費目です。
特に注意したいのは、住宅ローンが65歳以降も残るケースです。月10万円の返済が残れば、月40万円のうち4分の1を住宅費が占めます。逆に住宅ローンが完済済みで、車を手放し、旅行頻度も落とすなら、月40万円を丸ごと毎月必要としない可能性もあります。個人年金保険を検討する前に、退職時点で残る固定費を書き出しておくと、必要額のズレを防げます。
住宅ローンが残るなら個人年金保険を増やすべきですか?
65歳以降も住宅ローンが少し残りそうです。個人年金保険を増やしておけば安心でしょうか?
保険で受取額を増やす前に、繰上返済、退職金の使い方、ローン完済後の生活費を一緒に見たほうが安全です。保険料を増やしすぎると、教育費や介護費が重なったときに解約リスクが高まります。
基準3:個人年金保険は「確実性の高い受取枠」として使う
ここでいう個人年金保険は、一定期間保険料を払い込み、将来、年金形式で受け取る保険です。運用益を大きく狙う商品というより、老後の決まった時期に決まったお金を受け取りやすい点が強みです。
たとえば月10万円の不足をすべて個人年金保険で埋めようとすると、20年分で2,400万円、30年分で3,600万円規模の原資が必要になります。現役時代の保険料負担が大きくなりすぎる場合は、個人年金保険は月3万円から5万円分の受取に絞り、残りをNISAやiDeCo、退職金、預貯金で補うほうが続けやすいことがあります。
また、固定利率型の個人年金保険は将来の受取額を見通しやすい一方、物価上昇が続くと実質的な購買力が下がる可能性があります。途中解約では元本割れすることもあるため、「老後に確実に受け取りたい最低限の枠」として使うのが基本です。
NISA・iDeCoとの使い分けを先に決める
老後資金づくりでは、個人年金保険だけでなくNISAやiDeCoも候補になります。金融庁の(NISAを知る)では、2024年からのNISAについて、年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の合計360万円、非課税保有限度額は1人1,800万円と説明されています。夫婦で使えば制度上の非課税枠は大きくなりますが、投資である以上、元本保証はありません。
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になる一方、原則60歳まで引き出せない制度です。厚生労働省の(私的年金制度、iDeCoの改正のポイント)では、2026年12月から拠出限度額と加入可能年齢が引き上げられ、会社員など第2号被保険者は企業年金等と合計で月6.2万円までとなる方向が示されています。流動性が必要なお金は預貯金、増やしたいお金はNISA・iDeCo、確実に受け取りたいお金は個人年金保険、と役割を分けると判断しやすくなります。
老後資金づくりで大切なのは、返戻率だけを見ることではありません。いつ、いくら、どの程度確実に必要なのかを分けると、保険と投資の使い道が自然に見えてきます。
税制優遇はあるが、節税目的だけで選ばない
個人年金保険には、条件を満たすと個人年金保険料控除を使える場合があります。新制度では、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の所得控除が目安です。ただし、個人年金保険料控除の対象になるには、一般的に「個人年金保険料税制適格特約」が付いていること、保険料払込期間が10年以上であること、確定年金や有期年金では年金受取開始が60歳以降かつ受取期間10年以上であることなどの条件があります。
また、2026年・2027年分の所得税では、23歳未満の扶養親族がいる場合、新制度の一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に拡充される時限措置があります。ただし、これは一般生命保険料控除の話であり、個人年金保険料控除とは別枠です。制度の概要は生命保険文化センターの(税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」)で確認できます。節税額だけで加入を決めるのではなく、受取時期、保険料負担、解約リスクまで含めて判断しましょう。
共働き夫婦が見落としやすい注意点と相談前の準備
共働き夫婦は収入が2本あるため、現役時代は家計に余裕があるように見えます。しかし、退職時期が夫婦でずれる、片方が介護離職する、60代前半に収入が大きく下がるといった変化が起こると、想定より早く貯蓄を取り崩すことがあります。
個人年金保険は長期契約になりやすいため、教育費や住宅ローンが残る時期に保険料を上げすぎると、途中解約の原因になります。相談前には、夫婦の年金見込み額、退職金、住宅ローン残高、NISA・iDeCoの残高、加入中の保険、教育費の予定を並べておきましょう。家計簿がなくても、通帳アプリ、クレジットカード明細、保険証券、ねんきん定期便があれば十分に整理できます。数字をそろえるほど、個人年金保険を増やすべきか、NISAやiDeCoを優先すべきかが判断しやすくなります。
まとめ:重要ポイント
- 1月40万円を目標にするなら、まず夫婦それぞれの公的年金見込み額を確認します。
- 2不足額は「月40万円−年金見込み額」で計算し、20年・30年分で総額を見ます。
- 3個人年金保険は、老後に確実に受け取りたい部分を担う手段として考えます。
- 4NISA・iDeCo・預貯金と組み合わせることで、流動性、税制優遇、運用余地を分散できます。
- 5共働き夫婦ほど、住宅ローン、退職時期、介護離職などの家計変化を織り込むことが重要です。
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