【2026年6月更新】給付型奨学金と学資保険|大学費用の不足額3基準
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執筆者山中 忠 (FP1級・証券外務員一種保持)

給付型奨学金
学資保険
大学費用
高等教育の修学支援新制度
多子世帯
教育資金
NISA
目次
給付型奨学金が広がっても、大学費用はゼロとは限りません
2026年6月時点で、大学費用の準備は大きく変わっています。高等教育の修学支援新制度により、住民税非課税世帯などへの支援に加え、2025年度から多子世帯の授業料・入学金減免が拡充されました。
ただし、 給付型奨学金 や授業料等減免があっても、受験費用、入学前の納付金、教材費、自宅外通学の生活費まですべて賄えるとは限りません。むしろ「授業料は下がるはず」と考えていた家庭ほど、合格後すぐの現金支出で慌てることがあります。
この記事では、給付型奨学金と学資保険を併用する家庭向けに、大学費用の不足額を見積もる3つの基準を整理します。制度で軽くなる部分と、家庭で現金を用意すべき部分を分けて考えることが大切です。
最初に確認したい5つの前提
- 1進学予定先が高等教育の修学支援新制度の対象校かを確認します。
- 2世帯年収だけでなく、資産要件、学業要件、扶養状況も確認します。
- 3多子世帯の授業料等減免は、入学金と授業料に上限がある前提で見ます。
- 4学資保険の満期時期が、入学金や前期納付金の支払期限に間に合うかを確認します。
- 5自宅通学か自宅外通学かで、必要な現金と毎月の生活費を分けて考えます。
2026年の給付型奨学金は「授業料減免」とセットで見る
大学費用の支援制度を考えるときは、JASSOの給付型奨学金だけでなく、授業料等減免もセットで確認します。文部科学省の(高等教育の修学支援新制度)では、給付型奨学金と授業料・入学金の免除または減額により、大学、短大、高等専門学校、専門学校への進学を支援しています。
2025年度からは、多子世帯の学生等について、所得制限なく、国が定める一定額まで大学等の授業料・入学金の減免を受けられる仕組みが始まっています。JASSOの案内では、たとえば大学の場合、上限額は国公立で入学金28万円・授業料54万円、私立で入学金26万円・授業料70万円です。短大、専門学校、高等専門学校では上限額が異なります。
ここで大事なのは、支援が「学校に払うすべての費用が無制限に無料になる」という意味ではないことです。施設設備費、実験実習料、教材費、パソコン代、資格講座費、通学費、住居費などは別に残ることがあります。
多子世帯なら学資保険はいらないのでしょうか?
子どもが3人いるので、大学無償化の対象なら学資保険はもう不要ですか?
不要と決めるのは早いです。多子世帯の支援は大きい一方で、減免には上限があり、給付奨学金が支給されない区分もあります。入学前の納付金、施設費、教材費、パソコン代、下宿費などに使える現金として、学資保険の満期金が役立つかを見ましょう。
基準1:入学前に必要な現金を先に確保する
不足額を考える1つ目の基準は、合格から入学までに必要な現金です。 学資保険 の満期金が大学入学時に設定されていても、推薦入試や総合型選抜では秋から冬に入学金や前期納付金の支払いが発生することがあります。
給付型奨学金や授業料等減免は、申し込み、審査、学校での手続きを経て決まります。学校によっては入学時にいったん納付し、後から減免・還付される形になることもあります。そのため、最初に見るべきは「最終的にいくら安くなるか」だけではなく、「入学前後に一時的に立て替えられるか」です。
私立大学では初年度の支払いが大きくなりがちです。文部科学省の(私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について)によると、私立大学学部の初年度学生納付金等の平均は1,507,647円でした。平均額なので学部差はありますが、入学前資金の目安としては無視できない金額です。
奨学金で負担が軽くなる家庭ほど、入学金や前期授業料の支払いタイミングを見落としやすくなります。制度の対象かどうかと、手元資金が間に合うかは別問題として確認しましょう。
基準2:授業料等減免後の「残る費用」を分ける
2つ目の基準は、支援を差し引いた後に残る費用です。大学費用は授業料だけではありません。入学金、施設設備費、実習費、教科書代、資格講座費、通学定期代、パソコン代など、支援の対象外になりやすい支出があります。
多子世帯支援の詳しい上限額や判定方法は、JASSOの(令和7年度からの多子世帯支援拡充に係る対応について)で確認できます。特に注意したいのは、資産額が一定以上の場合、給付奨学生としての手続きは必要でも、給付奨学金の支給額が0円となるケースがある点です。
JASSOの(進学資金シミュレーター)を使うと、給付奨学金や貸与奨学金の対象になりそうかを大まかに確認できます。試算結果は確定額ではありませんが、家計で準備すべき不足額の目安づくりには役立ちます。
大学費用の不足額を出す計算式
- 1志望校の初年度納付金と4年間の学費を、学校公式ページで確認します。
- 2授業料等減免で下がる見込み額を、制度上の上限付きで差し引きます。
- 3給付型奨学金は、生活費や通学費を支える毎月資金として見積もります。
- 4学資保険の満期金は、確実に受け取れる時期と金額だけを計上します。
- 5受験費用、引っ越し費用、教材費、パソコン代、予備費を別枠で加えます。
基準3:自宅外通学なら生活費の不足を重く見る
3つ目の基準は、毎月の生活費です。特に自宅外通学では、家賃、食費、光熱費、通信費、帰省費用が加わります。授業料等減免で学費が下がっても、生活費の負担が重ければ、親の仕送り、学生本人のアルバイト、貸与奨学金に頼る割合が増えます。
JASSOが2026年3月に公表した(令和6年度学生生活調査結果)では、大学学部昼間部の学生生活費は平均2,019,100円でした。居住形態別では、自宅生が1,801,300円、アパート等が2,342,900円で、アパート等は自宅より約54万円高くなっています。
この差は4年間で見ると約216万円です。地域や家賃水準、学部、アルバイト状況によって変わりますが、自宅外通学では「授業料が下がったから安心」とは言い切れません。生活費の不足をどう埋めるかまで、入学前に話し合っておきましょう。
給付型奨学金は生活費に使ってもよいのでしょうか?
給付型奨学金が入ったら、授業料ではなく家賃や食費に使ってもいいのでしょうか?
学校の案内や制度上の扱いは確認が必要ですが、家計設計では「毎月の生活費を支えるお金」として見積もると現実的です。授業料は減免、生活費は給付奨学金と仕送り、入学前資金は学資保険や預金というように役割を分けると整理しやすくなります。
学資保険は「不足額を埋める確定財源」として見る
学資保険の強みは、満期時期と受取額がある程度読みやすいことです。親に万一のことがあった場合の保険料払込免除など、保障の機能がある商品もあります。一方で、途中解約では元本割れする場合があり、NISAのように自由に売却して現金化できるものでもありません。
そのため、2026年の教育費準備では、学資保険を「大きく増やす商品」として過度に期待するより、 確定財源 として不足額のどこに充てるかを決めるのが現実的です。たとえば、入学金と初年度費用は学資保険、在学中の生活費は給付型奨学金と仕送り、予備費は預金という分け方です。
すでに学資保険に加入している家庭は、解約返戻金ではなく満期金、受取時期、受取人、税金の扱いを確認しましょう。これから加入を考える家庭は、返戻率だけでなく、保険料を払い続けても家計が苦しくならないかを先に見ます。
給付型奨学金は支援制度、学資保険は家庭で準備した財源です。どちらが得かだけでなく、いつ、いくら、何に使えるかで並べると、不足額が見えやすくなります。
NISAや預金を併用するなら、使う時期をずらす
教育費準備では、NISAを使った資産形成を検討する家庭も増えています。ただし、大学入学直前に相場が下がると、必要な時期に売却しにくいことがあります。教育費のように支払時期が決まっているお金は、運用資産だけに頼らない設計が必要です。
目安として、入学1〜2年前に使うお金は預金や学資保険など値動きの小さい形で確保し、10年以上先の教育費や老後資金はNISAなどで長期運用を検討する、といった分け方が考えられます。
特に兄弟姉妹がいる家庭では、上の子の大学費用を払いながら下の子の教育費も準備する時期が重なります。運用で増やすお金、確実に使うお金、もしもの保障を、同じ財布で考えすぎないことが大切です。
相談前に準備すると判断が早くなる資料
実際に不足額を出すときは、家計全体を見ないと判断を誤ります。教育費だけを優先しすぎると、親の老後資金、住宅ローン、生命保険料、緊急予備資金が圧迫されるからです。
相談前には、志望校の学費ページ、学資保険の保険証券、預金残高、NISAの評価額、毎月の収支、兄弟姉妹の年齢が分かるメモを用意しましょう。すべてそろっていなくても大丈夫ですが、情報が多いほど「奨学金で足りる部分」と「家庭で準備すべき部分」を具体化できます。
結論として、給付型奨学金と学資保険は、どちらか一方を選ぶものではありません。2026年時点では修学支援新制度の拡充により大学費用の負担は軽くなっていますが、入学前資金、対象外費用、自宅外通学の生活費は残りやすい支出です。 大学費用の不足額 は、制度だけでなく家庭ごとの家計状況で大きく変わります。
まとめ:重要ポイント
- 1給付型奨学金と授業料等減免は、対象校、家計基準、学業要件、資産要件、扶養状況を確認する必要があります。
- 2多子世帯の支援があっても、入学前の納付金、施設費、教材費、生活費まで必ずゼロになるわけではありません。
- 3学資保険は、入学金や初年度費用など使う時期が決まった確定財源として位置づけると判断しやすくなります。
- 4自宅外通学では、授業料よりも家賃や生活費の不足が家計を圧迫することがあります。
- 5NISAや預金も含め、教育費、老後資金、保険料のバランスを家計全体で確認することが大切です。
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